診断未確定関節炎(UA)からの関節リウマチ(RA)発症を、早期薬物介入で予防できるかを検討する前向き臨床試験(Nagasaki Early試験)が今年1月に始まった。長崎大学第一内科講師の川上純氏が、4月23日から25日に東京で開催された第53回日本リウマチ学会総会・学術集会と併催された第18回国際リウマチシンポジウムで発表した。
川上氏らはこれまでの研究で、手指関節のMRI検査で骨髄浮腫を認め、かつ抗CCP抗体またはIgM-RF陽性のUA患者は、1年以内にRAに進展することを明らかにしている(陽性予測値100%)。そのため、今回の臨床試験では、近い将来、RAへ進展すると考えられるUA患者に対して早期に薬物介入を行い、RAへの進展予防効果を評価する計画だ。
臨床試験は、条件を満たすUA患者を、メトトレキサート(MTX)8mg/週群、またはサラゾピリン(SASP)1g/日群に割り付け、1年間の投薬後、3年間追跡調査を行い、RAへの進展予防効果を評価する。
川上氏らは、同試験の先行研究として、同じ条件を満たす15人のUAを対象にした試験を行っており、投薬開始12カ月の時点で、DMARDs投与により25.0%の患者でRAへの進展を防止できていた。ただし、6カ月時点でMRI検査における骨髄浮腫が消失しなかった患者が14.3%存在していたという。
また川上氏らは、無造影MRIでも造影MRIと同様、手指関節の骨髄浮腫を識別できることを確かめている。そのため、臨床試験におけるMRI検査を造影で行うか否かは、各担当医の判断に任せる予定だ。(小板橋 律子)
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