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Lancet誌から
降圧薬3剤/スタチン/アスピリンの配合薬は安全かつ有効
インド製「Polycap」を用いた無作為化試験の結果

 心血管リスク低減に役立つことが示されている降圧薬スタチンアスピリン配合薬があれば、健康な人々の心血管イベントリスクの低減において有効で簡便な選択肢になると期待されている。しかし、有効かつ安全であることが示されている薬剤を組み合わせた配合薬を投与した場合、それぞれを単独で用いた場合と比べて有効性は同等なのか、有害事象が増すことはないのか、といった疑問がある。

 そこで、カナダMcMaster大学のSalim Yusuf氏らは、インドCadila Pharmaceuticals社製の配合剤「Polycap」を用いて、大規模な無作為化試験を実施。Polycapの効果は、成分となっている薬剤を個々に用いた場合の効果を組み合わせた場合とまったく同じではないものの、安全かつ有効で、冠疾患リスクと脳卒中リスクをほぼ半減できる可能性を持つことを示唆した。詳細はLancet誌2009年4月18日号に報告された。

 Polycapは、利尿薬のヒドロクロロチアジド(12.5mg)、β遮断薬のアテノロール(50mg)、アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬のラミプリル(5mg)、シンバスタチン(20mg)、アスピリン(100mg)を含む(すべてジェネリック)。

 この二重盲検無作為化試験は、2007年3月から08年8月まで、インドの50医療機関で行われた。心血管疾患歴はないが、以下の危険因子を1つ保有する45~80歳の人々2053人(平均年齢54.0歳、43.9%が女性)を登録した。危険因子:2型糖尿病、収縮期血圧が140mmHg超または拡張期血圧が90mmHg超で160mmHg/100mmHg未満、過去5年以内の習慣的な喫煙、ウエスト・ヒップ比が女性で0.85超、男性で0.90超、LDL-コレステロール(LDL-c)値が3.1mmol/L(120mg/dL)超またはHDL-コレステロール(HDL-c)値が1.04mmol/L(40.2mg/dL)未満。

 これらの登録者を、以下の9通りの薬物レジメンのいずれかに無作為に割り付けた:Polycap (412人)、アスピリンのみ(205人)、シンバスタチンのみ(202人)、ヒドロクロロチアジドのみ(205人)、ヒドロクロロチアジド+アテノロール(207人)、アテノロール+ラミプリル(205人)、ヒドロクロロチアジド+ラミプリル(209人)、降圧薬3剤(ヒドロクロロチアジド+アテノロール+ラミプリル、204人)、降圧薬3剤とアスピリン(204人)。外見が同じカプセルにこれらを詰めたものを、1日1回投与した。

 投与期間は12週とし、16週目に最後の受診を依頼した。

 全員に最適なライフスタイルに関するアドバイスを行った。

 主要アウトカム評価指標は、LDL-c、血圧、心拍数(アテノロールの影響を評価)、尿中の11-デヒドロトロンボキサンB2(11-DTXB2、アスピリンの抗血小板作用を評価)、治療中止率(安全性の指標)に設定。分析はintention-to-treatで行った。

 なお、それぞれのアウトカム評価指標について、非劣性のマージンをあらかじめ設定した。降圧作用については、拡張期血圧の差が2mmHgまで、シンバスタチンではLDL-c値の差が0.155mmol/L(6.0mg/dL)まで、アスピリンについては11-DTXB2の差が60ng/mmolクレアチニンまでとした。

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