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付き合いの悪い部下は嫌いですか?

2009/05/01
緑山草太

 部下と食事やお酒を共にするのが好きだという上司は、決して少なくないでしょう。しかし、部下が上司との飲み会を楽しんでいるかといえば、必ずしもそうとは言い切れません。いくら気さくな上司であっても、上司は上司。やはり、部下はそれなりに気を使っています。部下を飲みに誘う上司はよくいますが、上司を飲みに誘う部下はあまりいないでしょう。

 上司にとって、第一線の現場で働く部下との会食は、現場での問題点や要望を把握する良い機会です。また、組織の雰囲気を把握し、現場との密な交流を心がける姿勢は、上司としてとても大切です。

 しかし、仕事の用件以外で個人的に部下を誘うのは、あまり頻繁でない方がいいでしょう。もちろん、部下に元気がなかったり、何か悩みを抱えているようなときは、飲みながら相談に乗ってあげることも必要です。しかし、自分の寂しさを紛らわすために、もしくはストレス発散のために、むやみに部下を誘うのは控えた方がいいと思っています。部下の生活を尊重することも大切です。

 飲み会の最後まで付き合わないと「上司としての責任を果たせない」「面倒見が悪いと思われてしまう」などと思っている上司も多いかもしれません。しかし、部下は、上司が帰った後に気兼ねなく盛り上がりたいと思っていることが多いのです。部下に本心から、「最後まで付き合ってもらいたい」と思われているような上司であれば、話は別ですが…。

 私もこのごろ、2次会に出席するのは時々です。ただ、1次会はしっかり最後まで付き合うようにしています。部下を気遣ってというよりは、近ごろ夜更かしが苦手になり、すぐ眠くなってしまうからなのですが…。

 上司と部下は友達ではありません。部下の気持ちを知ることと同様に、上司としての自覚を持って、部下とある程度距離を置くことも必要になります。部下との距離があまりに近くなりすぎれば、部下に嫌われたくないとの思いが過度に強くなり、自分の考えを部下に的確に伝達できなくなる可能性もあります。これでは本末転倒でしょう。

著者プロフィール

緑山草太(ペーンネーム)●みどりやま そうた氏。消化器外科医。1988年、東京の医科大学を卒業。2000年、栃木県の国立病院の外科部長。2004年に再び東京の大学病院に戻り、医局長を務める。

連載の紹介

緑山草太の「僕ら、中間管理職」
良い診療も良い経営も、成否のかぎを握るのは中間管理職。辛くとも楽しいこの職務は、組織の要。「良い結果は健全な組織から生まれる」と話す緑山氏が、健全な組織を作るための上司の心得を紹介します。

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