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NEJM誌から
HCVジェノタイプ1の感染者にテラプレビル併用が有効
フェーズ2試験「PROVE1」「PROVE2」の結果

 C型肝炎ウイルス(HCV)ジェノタイプ1感染者の約半数は、現在の標準治療が奏効しない。こうした患者の治療に、ウイルスの複製に必須のセリンプロテアーゼを特異的に阻害するテラプレビルを追加することで、持続的ウイルス学的著効(SVR)達成率が向上することが、2件のフェーズ2試験で示された。それぞれの論文は、NEJM誌2009年4月30日号に掲載された。

 1件目は、米国で行われたPROVE1試験、2件目は欧州で行われたPROVE2試験で、ほぼ同様の試験設計が用いられていた。

 テラプレビル(Vertex Pharmaceuticals社、商品名「VX-950」)は、HCVの非構造たんぱく質である3/4Aセリンプロテアーゼ(NS3/4A)に特異的な阻害薬で、経口投与が可能だ。HCVジェノタイプ1感染者を対象とするフェーズ1b試験では、単剤投与でHCV RNA量が迅速に低下することが示されていた。

 二重盲検の多施設無作為化試験PROVE1の結果は、米国Duke大学のJohn G. McHutchison氏らが報告した。PROVE1は、治療歴のない患者を対象にテラプレビルを併用する治療の有効性と安全性を評価すると共に、併用により標準治療の継続期間を短縮できるかどうかを調べることを目的としていた。

 2006年6月から9月に、米国内の37施設で、HCVジェノタイプ1の慢性感染があるが、治療歴はない18~65歳の患者263人を登録。以下の4通りの治療に無作為に割り付けた。
 (1)標準治療をそのまま適用する対照群:ペグインターフェロンα-2a(180μg/週、皮下注射)とリバビリン(体重75kg未満は1000mg/日、75kg以上は1200mg/日、経口投与)を48週投与。当初12週間はテラプレビルの偽薬も投与。
 (2)テラプレビル併用群(T12PR12群):テラプレビル(初回は1250mg、その後8時間ごとに750mg)を12週間投与。テラプレビルと同時にペグインターフェロンα-2aとリバビリン投与も開始し、12週間投与。
 (3)テラプレビル併用群(T12PR24群):(2)と同様の治療で、ペグインターフェロンα-2aとリバビリンは24週間投与。
 (4)テラプレビル併用群(T12PR48群):(2)と同様の治療で、ペグインターフェロンα-2aとリバビリンは48週間投与。

 計250人(平均年齢48.1歳、63%が男性)が、試験薬を1回以上使用した。対照群は75人、T12PR12群は17人、T12PR24群が79人、T12PR48群が79人だった。

 主要エンドポイントはSVR(治療終了後から24週までの持続的なHCV RNA陰性化)に設定。分析は割り付けられた治療を1回以上受けた患者全員を対象に行った。

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