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JAMA誌から
STEMIでPCIを受ける患者にVT/VFが発生すると転帰不良に
前後に約6%の患者にVT/VFが発生

ST上昇心筋梗塞STEMI)でプライマリPCIを受ける患者を対象に、持続性の心室頻拍または心室細動VT/VF)の有無とその発生時期が臨床転帰に及ぼす影響を調べたところ、VT/VFがあると90日以内の死亡のリスクが有意に高まることが示された。米国Duke Clinical Research InstituteのRajendra H. Mehta氏らの報告で、詳細はJAMA誌2009年5月6日号に掲載された。

 著者らは、ST上昇心筋梗塞でプライマリPCIを受ける患者が、持続性(30秒超継続、または、電気的除細動が必要)のVT/VFを発症する頻度を明らかにし、VT/VFの発症時期と臨床転帰の関係を知るために、APEX AMI試験の登録患者を対象とする分析を行った。

 APEX AMI試験は、欧米、オーストラリア、ニュージーランドの17カ国296病院で、2004年7月13日から2006年5月11日まで、患者登録を行った。ハイリスクSTEMIの症状発現から6時間以内で、プライマリPCIを受けることになった18歳以上の5745人が登録された。

 著者らは、STEMI発症後の持続性VT/VFの有無により患者を2分し、さらにVT/VFありグループを早期(心臓カテーテル挿入が完了する前から)発生群と後期(心臓カテーテル挿入完了後)発生群に分けた。

 主要アウトカム評価指標は90日間の全死亡率に設定した。

 VT/VFは329人(5.7%)に発生。うち7人については発生時期が確認できなかった。それ以外の患者では、心臓カテーテル挿入前の発生が25人、挿入中が180人(以上の205人=64%を早期発生群に分類)、それ以降の発生は117人だった。STEMIの症状発現から48時間以内の発症が全体の90%(282人)を占めた。

 VT/VFなし群に比べVT/VFあり患者は、より高齢で、心拍数が高く、Killip分類(左心不全の重症度を示す、I 度は心不全なし~IV度は心原性ショックを示す)の度数が高く、ベースラインのST偏位が大きかった。収縮期血圧は低く、クレアチニンクリアランスも低かった。また、PCI前のTIMI血流分類が0の患者とPCI後のTIMI分類が3未満の患者が多かった。

 臨床転帰はVT/VFあり群で不良だった。心房細動または心房粗動、完全房室ブロック、不全収縮、症候性低血圧、腎不全、中症から重症の出血等のイベントが有意に多く発生していた。90日死亡率は、VT/VFあり群が23.2%、なし群が3.6%。ベースラインの患者特性で調整したハザード比は3.63(95%信頼区間は2.59-5.09)となった。

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