日経メディカルのロゴ画像

医師増員署名は1万9000筆達成、今度は医療費増を!

2009/05/28

 2009年4月24日、共同通信社は「厚生労働省は24日までに、2010年度に必要な医学部定員の総数(防衛医科大を除く)について、本年度より約400人多い8900人程度とする推計をまとめた。将来的には総定員を1万1400人まで増やす必要があるとして、実現に向けた対策に取り組む方針」と配信しました。

 これは、今年度、医学部定員を一気に約700人増やし、8486人とした措置に続く動きです。記事によると、この推計はOECD加盟国との比較などを踏まえて算出。1980年以降で最も少なかった2003~07年度の総定員(7625人)の1.5倍を目標として、医師の地域偏在解消につなげるため、地元高校出身者を対象とする「地域入学枠」などを設ける必要もあるとしています。

医療崩壊阻止のために、これまでずっと医師増員の必要性を訴えてきた私から見れば、正直「遅きに失した」という感があります。まさに戦争中と同様の、お上による「甘い情報分析、遅い基本方針転換」の典型といえます。

 この遅すぎる基本方針転換によって、ようやく医師が増員されたとしても、現場の教育体制の整備は十分でなく、さらにそれらの医師が現場で活躍するようになるのは、まだ遠い先です。それまでの間は、一刻も早く現場の勤務医の労働環境を改善することが必要です。

 そのためには、医師を補助する医療秘書やNP(ナース・プラクティショナー)、PA(フィジシャン・アシスタント)の導入などが急務であり、それらを担保する医療費増を早急に実施することが不可欠です。

 私が呼びかけ人として参加する「医療崩壊阻止! 医師・医学生署名をすすめる会」では、2008年6月30日から、医師増員と医療費増を訴えて全国で署名活動を展開してきました。以下に、これまでの活動を報告します。

○2008年7月25日 衆議院議員会館で記者会見(詳しくはこちら
○8月13日 署名1000筆達成(医師1226、医学生4:計1230)
○9月4日 署名3000筆達成(医師3186、医学生176:計3362)
○9月26日 ホテルニューオータニ札幌「医師・医学生署名をすすめる北海道の会」発起人会
○10月4日 署名5000筆達成(医師4666、医学生346:計5012) 
○11月10日 署名1万筆達成(医師9130、医学生1221:計1万351)
○12 月23日 京都三井ガーデンホル京都四条「医療崩壊阻止! 医師・医学生署名をすすめる会 呼びかけ人全国交流集会」開催、代表呼びけ人5人全員参加
○12月14日 富山で県民公開講演会開催、650名参加(詳しくはこちら
○2009年2月17日 国会の政党に「公開質問状」送付
○2月27日 国民新党から回答
○3月2日 日本共産党から回答
○4月10日 自由民主党から回答、民主党から回答
○4月18日 鹿児島「地域医療の再生を! かごしまの医療を考える集いⅡ」開催、230人参加
○4月26日 福岡で講演会「医師増やせ! 医療費増やせ! 地域医療の崩壊を食い止めるための医師・医学生署名をすすめる会シンポジウムin福岡」開催、200人参加。

 こうした地道な活動が受け入れられ、2009年5月12日現在の署名総数は1万9000筆を突破しました。以下に詳細を示します。

著者プロフィール

本田宏(済生会栗橋病院院長補佐)●ほんだ ひろし氏。1979年弘前大卒後、同大学第1外科。東京女子医大腎臓病総合医療センター外科を経て、89年済生会栗橋病院(埼玉県)外科部長、01年同院副院長。11年7月より現職。

連載の紹介

本田宏の「勤務医よ、闘え!」
深刻化する医師不足、疲弊する勤務医、増大する医療ニーズ—。医療の現場をよく知らない人々が医療政策を決めていいのか?医療再建のため、最前線の勤務医自らが考え、声を上げていく上での情報共有の場を作ります。

この記事を読んでいる人におすすめ