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Lancet誌から
リバロキサバンが人工膝関節置換術後のVTE予防に有効
エノキサパリンと比較したRECORD4試験の結果

 米国胸部疾患学会議(ACCP)は、人工膝関節置換術後には、10日以上にわたる静脈血栓塞栓症VTE)予防の実施を推奨している。カナダMcMaster大学のAlexander GG Turpie氏らは、エノキサパリンの皮下注射に比べ、リバロキサバンの経口投与が、深部静脈血栓症、非致死的肺塞栓、全死因死亡を合わせた複合イベントのリスクを有意に下げることを示した。詳細は、Lancet誌2009年5月16日号に報告された。

 人工膝関節置換術を受けた患者の入院期間が短くなる傾向が強まっている現在、VTEの予防も、シンプルで有効な経口抗凝固薬を用いて行うことが望ましいと考えられる。著者らは、新規経口直接作用型第Xa因子阻害薬リバロキサバンを適用した場合の安全性と有効性をエノキサパリンと比較するため、RECORD4試験を行った。

 この無作為化フェーズ3試験は、2006年6月から07年10月に、12カ国の131医療機関で、3148人の患者を登録。出血のある、または出血リスクの高い患者は登録から除外した。

 ダブルダミー(複数のプラセボ)を用いた二重盲検法により、患者は、術後6~8時間からリバロキサバン10mgを1日1回経口投与する群(1584人)、または、術後12~24時間からエノキサパリン30mgを12時間おきに皮下注射する群(1564人)のいずれかに割り付けられた。

 手術当日を1日目とし、術後11~15日目に全身的な上行性の両側静脈造影を実施。試験薬の投与はその前の晩まで継続した。

 主要アウトカム評価指標は、術後17日までのあらゆる深部静脈血栓症、非致死的肺塞栓、全死因死亡を合わせた複合イベントに設定。2次評価指標は、重大なVTE(近位深部静脈血栓症、非致死的肺塞栓、VTEに関連する死亡)とした。安全性の評価指標は大出血に設定した。

 まず、エノキサパリンと比較したリバロキサバンの非劣性を、per-protocol集団(1742人)を対象に検証することにした。絶対的非劣性のマージンは95%信頼区間の下限が-4%とし、これを上回れば非劣性と決めた。さらに、非劣性が示された場合には、modified intention-to-treat集団(1924人)を対象にリバロキサバンの優越性を検証するとした。

 主要エンドポイントに関する評価が可能な静脈造影の結果が得られたのは、リバロキサバン群1584人中965人(60.9%)、エノキサパリン群は1564人中959人(61.3%)だった。これらの患者のベースラインの人口統計学的特徴と、受けた手術の内容に、差はなかった。

 試験薬の平均投与期間は、リバロキサバンが11.7日、エノキサパリンが11.0日だった。

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