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NEJM誌から
薬剤溶出ステントとベアメタルステントの長期転帰に差なし
再狭窄ハイリスク患者には薬剤溶出ステントがベター

 薬剤溶出ステントDES)またはベアメタルステントBMS)のどちらを留置した方が、長期的な転帰は好ましいのだろうか。スウェーデンUppsala大学のStefan K. James氏らは、同国の冠動脈血管造影・血管形成術レジストリのデータを分析し、これらステントのいずれか1個だけを留置された様々な疾患の患者において、死亡または心筋梗塞のリスクに差はないこと、ハイリスク患者においてはDESが臨床的に意義のある再狭窄リスク低減をもたらすことを明らかにした。詳細は、NEJM誌2009年5月7日号に報告された。

 これまで、幅広い患者を対象にDESの長期的な安全性と有効性をBMSと比較した、質の高い無作為化試験はなかった。著者らはデータベースを使って、DESの長期的な臨床転帰を明らかにしようと試みた。

 分析の対象となったのは、2003~06年にスウェーデンの29カ所の医療機関で冠動脈ステントの留置を受け、冠動脈血管造影・血管形成術レジストリに登録された患者のうち、07年末までの1~5年の完全な追跡データが得られた4万7967人。

 スウェーデンでは、この間に4万8892人に対して5万5465件の経皮的冠動脈インターベンションPCI)が行われ、8万6552個のステントが留置されていたが、925人(1.9%)については、ベースラインのデータに不足があったため分析から除外した。

 最初に、DES1個の留置を受けた患者(1万294人)とBMS1個の留置を受けた患者1万8659人を比較。次に、あらゆるステント留置を受けた患者全員を対象とする比較も行った。この場合、DESが1個以上用いられていた1万9681人をDES群に、それ以外の2万8286人をBMS群に分類した。

 1ステント留置群では、DESの適用割合は2003年が18.8%、04年は32.9%、05年は47.7%、06年は38.8%と増加していた(平均は35.6%)。

 用いられたDESの種類は、パクリタキセル溶出ステントが6247人(BMS適用患者も含む1ステント群全体の21.6%)に、シロリムス溶出ステントが3351人(11.6%)、ゾタロリムス溶出ステントが686人(2.4%)となっていた。

 平均2.7年の追跡の間に、死亡または心筋梗塞を経験した患者は5046人。発生したイベントの件数は死亡が2380件(DES群が764件、BMS群が1616件)、心筋梗塞が3198件(1154件と2044件)だった。

 傾向スコアで調整した複合イベント(死亡/心筋梗塞)発生リスクには差はなかった。BMS群と比較したDES群の相対リスクは0.96(95%信頼区間0.89-1.03)だった。

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