細気管支炎の乳児にエピネフリン吸入とコルチコステロイド経口投与を併用すると、発症から7日間の入院リスクを減らせる可能性があることが示された。カナダEastern Ontario小児病院のAmy C. Plint氏らの無作為化試験の結果で、詳細はNEJM誌2009年5月14日号に掲載された。
乳児の急性下気道感染で最も多いのが細気管支炎だ。カナダと北米では、過去10~15年の間に細気管支炎による入院がほぼ倍加しているが、これはRSV感染に起因するケースが多い。
現在のところ、細気管支炎に対する治療法については議論がある。気管支拡張薬とコルチコステロイドが広く用いられているが、日常的な使用が推奨されているわけではない。これまでに行われた無作為化試験では、特定の治療レジメンの有効性を示す一貫した結果は得られていない。また、細気管支炎の乳児に、エピネフリン吸入または吸入コルチコステロイドをそれぞれ単独で用いた場合の利益を調べる研究も数多く行われているが、結果は一致しておらず、これらを併用した場合の有効性については十分に検証されていない。そこで著者らは二重盲検の多施設試験を実施した。
2004~07年の細気管支炎流行期(12月から4月)に患者登録を実施した。細気管支炎でカナダ国内の8カ所の小児救急部門を受診した乳児(生後6週間から12カ月) のうち、呼吸窮迫評価指標(Respiratory Distress Assessment Index:RDAI)が4~15の患者800人を登録した。このRDAIのスコアは0~17の範囲で、数字が大きいほど重症(スコア4は非常に軽症、スコア15は非常に重症)を意味している。なお、過去に喘鳴があった乳児や喘息患者は除外した。
患者は、無作為に以下の4グループに割り付けた。
エピネフリン吸入(エピネフリン1000倍液3mL/回)を2回(30分間隔)と、デキサメタゾン懸濁液の経口投与を6回(1回目のエピネフリン吸入終了後に1.0mg/kgを救急部門で投与し、その後0.6mg/kgを5日間投与)
グループ2(199人);エピネフリン/プラセボ群
エピネフリン吸入とプラセボの経口投与を実施
グループ3(200人);プラセボ/デキサメタゾン群
プラセボの吸入とデキサメタゾンの経口投与を実施
グループ4(201人);プラセボ/プラセボ群
プラセボの吸入とプラセボの経口投与を実施