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Lancet誌から
厳格な血糖管理の是非、メタ分析の結果は…
全死因死亡リスクは増やさず、心血管イベントを減らす

 2型糖尿病患者に対する血糖の厳格な管理は、心血管イベントや全死因死亡を減らすのか。この疑問を検証するため無作為化試験のメタ分析を行った英国Cambridge大学のKausik K Ray氏らは、厳格な血糖管理は心血管イベントを減らし、全死因死亡リスクは増やさない、という結果を示した。詳細は、Lancet誌2009年5月23日号に報告された。

 これまで、2型糖尿病患者に対する厳格な血糖管理が長期的な心血管イベントを減らすかどうかを調べるため、複数の無作為化試験が行われてきた。だが、得られた結果は相反しており、明確なエビデンスは示されていない。

 こうした結果には、個々の試験が持つ欠点(イベント発生率が予想を下回った、治療期間が短い、対象患者が少ない、など)が影響していると考えた著者らは、2型糖尿病患者の心血管イベントと全死因死亡に対する厳格な血糖管理の影響を調べるメタ分析を行った。

 Medline、コクラン比較臨床試験、EmBaseに1970年1月から2009年1月までに登録された研究の中から、以下の条件を満たすものを選出した:2型糖尿病患者を、無作為に、厳格な血糖管理または対照群(偽薬、標準治療、または緩やかな血糖管理)に割り付けており、追跡期間中に両群間のHbA1c値に有意差が見られたもの。心血管アウトカムを主要エンドポイントに設定し、非致死的心筋梗塞、冠疾患(致死的または非致死的心筋梗塞)、脳卒中、全死因死亡について報告していたもの。

 条件を満たしたのは、主に欧米で行われた以下の5件の研究だ。UKPDS(UKPDS33と34を統合)、PROactiveADVANCEVADT、そしてACCORD

 これらの5件に登録されていた3万3040人について、非致死的心筋梗塞、冠疾患(致死的または非致死的心筋梗塞)、脳卒中、全死因死亡に関する情報を得て、ランダム効果モデルを用いてメタ分析を実施した。

 患者の年齢は53~66歳、半分以上が男性だった。追跡期間中のHbA1c値の平均は、対照群に比べ厳格管理群で0.9%低かった。

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