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BMJ誌から
アルツハイマー病を5分で検出可能なテストが開発
既存の認知機能検査と同等以上の精度

 専門家でなくても、5分程度でアルツハイマー病を検出できる簡易テストが、英国で開発された。開発者である英国Addenbrooke's HospitalのJeremy Brown氏らの検討により、このテストは既存の認知機能検査と同等以上の精度を持つことが明らかになった。詳細は、BMJ誌2009年6月13日号に報告された。

 著者らはかねてから、専門家でなくても実施でき、所要時間が短く、広範な認知機能を検査でき、軽症のアルツハイマー病も検出できる検査の開発に取り組んできた。今回作成した検査は、TYM(Test Your Memory)と名付けられている。

 TYMは、1枚の用紙の表裏に10の課題と回答欄が記載されたシートを用いる(詳しくはこちら)。10の課題の概要とポイントは以下の通り:見当識(10ポイント)、文章反復(2ポイント)、語彙知識(3ポイント)、計算(4ポイント)、言語の流ちょう性(4ポイント)、類似性(4ポイント)、名称記憶(5ポイント)、視空間認知(2つの課題を合わせて7ポイント)、反復した文章の想起(6ポイント)。テストを完了できればさらに5ポイントが加算され、スコアの合計は50ポイントになる。

 今回著者らは、アルツハイマー病検出におけるTYMの評価を行うために、3カ所の病院の外来部門(メモリークリニックを含む)で横断的研究を実施した。

 対象は、認知症/健忘性軽度認知障害でメモリークリニックを受診した患者139人(うちアルツハイマー病患者は85人、健忘性の軽度認知障害が23人、その他の認知症が31人)。患者に付き添ってメモリークリニックを訪れた18~95歳の親族を中心に対照群540人を選んだ。

 健忘性軽度認知障害はアルツハイマー病と病理学的に類似しており、標準的な認知機能検査ACE-R(Addenbrooke's Cognitive Examination-Revised)のスコアが低い患者は、アルツハイマー病に進行する可能性が高く、早期アルツハイマー病と見なされる場合もある。このため著者らは、ACE-Rスコアが83/100以下の健忘性軽度認知障害患者9人を、アルツハイマー病グループに組み入れて分析した(アルツハイマー病群は計94人)。

 その他の認知症の31人のうち16人はレビー小体病、13人は前頭側頭型認知症、2人は進行性核上性麻痺と診断された。

 主要評価指標は、標準的な認知機能検査(MMSE: Mini-Mental State ExaminationとACE-R)を参照とした場合のTYMの精度、アルツハイマー病検出におけるTYMの感度と特異度などに設定された。

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