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医師不足を教育・研修の充実で解消
筑波大主導の「いばらき地域医療研修ステーション」の一挙両得の試み

筑波大病院の前野哲博氏は「医師が都会に流れるのは自然なこと。地域医療に携わってもらうには教育から始めるのが重要」と強調する。

 へき地の医療機関で医師を採用しようとしても容易には集まらない--。プライマリケアに関心を持つ学生・研修医は少なくないが、それに応える教育・研修の場が確保できない--。そんな地域・行政が抱える問題と、大学側の悩みの両方を解決しようとする試みが始まっている。それが「いばらき地域医療研修ステーション」だ。今年春にスタート、この半年間で相応の成果を上げている。同ステーションづくりを主導した、筑波大病院総合臨床教育センター副部長の前野哲博氏は「この事業の関係者、つまり県、大学、診療所、学生・研修医、指導医など、それぞれにとってメリットのある取り組みになっている」と語る。

県がカネを出し、大学が知恵を絞る
 「いばらき地域医療研修ステーション」とは次のようなものだ。茨城県が同ステーションのための事業費を予算化して、その事業を筑波大病院に委託する。筑波大病院は事業費を使って指導医クラスの医師を自院の常勤医として採用、その医師を県内の「地域医療教育モデルクリニック」に派遣、医師は各診療所院長と協力して、教育・研修に当たるという仕組みだ(図1)。

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