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JAMA誌から
若いときの肥満は膵臓癌リスクを高める
膵臓癌の発症や生存期間にも影響大

2009/07/08
大西 淳子=医学ジャーナリスト

過体重肥満になった時期と膵臓癌の関係を調べた結果、14~39歳の間の過体重と20~49歳の間の肥満が膵臓癌リスク上昇と有意に関係していることが示され、若いときから肥満を防ぐことが膵臓癌の一次予防につながる可能性が示唆された。米Texas大学M. D. Anderson癌センターのDonghui Li氏らの大規模なケースコントロール研究の結果で、詳細はJAMA誌2009年6月24日号に報告された。

 肥満は膵臓癌の危険因子の一つと考えられている。著者らは、過体重(BMI25-29.9)や肥満(BMIが30以上)が、膵臓癌のリスク、発症年齢、全生存期間に影響を及ぼすかどうかを調べるために、M.D.Anderson癌センターで2004年1月から進行中の病院ベースのケースコントロール研究に登録された膵管腺癌の患者を分析した。

 2004年5月31日から2008年6月30日までに登録された患者のうち、条件を満たした841人を選んだ。対照群には、癌で同センターを受診した患者の配偶者、親族、友人の中から、患者群と年齢、人種、性別の構成がマッチするよう745人を選出した。

 身長と体重は、14~19歳、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60~69歳、70~79歳と、登録前1年間のそれぞれの期間の通常の値を尋ねた。得られた値を基にBMIを計算した。臨床情報は患者の医療記録から入手。人口統計学的情報に加え、患者から既知の危険因子または危険因子候補に関する情報を得た。

 主要アウトカム評価指標は、患者のBMIと膵臓癌リスク、発症年齢、全生存期間の関係とし、それぞれ、無条件ロジスティック回帰分析、線形回帰分析、Cox比例ハザード分析により評価した。オッズ比は、年齢、性別、人種、喫煙、飲酒、糖尿病歴、癌の家族歴で調整。生存分析は1年以上の追跡が行われた609人を対象に実施した。

 追跡期間の中央値は22.1カ月だった。14歳以降、年齢が上昇するにつれて、患者群、対照群の両方で過体重者、肥満者の割合は増加し、その増加率に差はなかった(P=0.32)。

 膵臓癌リスク上昇と有意に関係していたのは、14~39歳の間の過体重と20~49歳の間の肥満で、糖尿病の有無に関わらず関係は有意だった。過体重と膵臓癌の関係においてオッズ比が最高になったのは14~19歳で1.67(95%信頼区間1.20-2.34)、肥満では30~39歳の2.58(1.70-3.90)だった。最もオッズ比が高かったのは糖尿病なしグループで30~39歳の期間に肥満だった人々で3.03(1.88-4.90)になった。一方、60~79歳の期間のBMIと膵臓癌リスクの間には有意な関係は見られなかった。

 患者群の14~59歳のBMI値の平均は24.70、対照群では23.73(P<0.001)。BMI値5上昇当たりの膵臓癌のオッズ比は1.55(1.32-1.84、P<0.001)となった。非糖尿病患者に限定するとオッズ比は1.66(1.37-2.01、P<0.001)になった。

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