低骨量の閉経女性にビスホスホネート製剤の投与を開始した場合、反応性の評価のために、定期的な骨密度測定を行う必要はあるのだろうか。
オーストラリアSydney大学のKaty J L Bell氏らによるメタ分析の結果、ビスホスホネート製剤のアレンドロネートの治療開始から3年間は患者間の反応性の差が小さく、骨密度測定は不要であることが分かった。詳細は、BMJ誌2009年6月27日号に報告された。
骨粗鬆症とこれに起因する骨折は、高齢者に深刻な問題を引き起こすため、ガイドラインは、骨折リスクの高い患者の同定と、ビスホスホネート製剤などを用いた予防的治療の実施を推奨している。しかし、治療の効果をどのように評価すべきかについての情報は少なく、ガイドラインごとに指示する内容が異なっている。
これまでに行われたメタ分析の結果、ビスホスホネートのような骨吸収阻害薬では、投与による骨密度上昇と骨折リスクの低下の間に有意な関係があることが示されている。この結果は、定期的に骨密度を測定して治療効果を評価することが、ある程度の臨床的意義を持つことを示唆しているが、定期的な骨密度測定のコストと利益のバランスは明らかではなかった。
この点についてさらなるエビデンスが必要と考えた著者らは、アレンドロネートの骨密度への影響に個人差があるかどうかを調べることにした。もし個人差がないなら、これまでのデータを基に、治療に対する反応は予測可能で、骨密度を指標とするモニタリングは不要と考えられるからだ。そこで、大規模な無作為化試験Fracture Intervention Trialのデータを、混合モデルを用いて二次分析することにした。
この試験は、骨密度の低い(0.68g/cm2以下)閉経女性6459人を対象に、アレンドロネートと偽薬の影響を比較した無作為化試験だ。2027人はベースラインのX線撮影で脊椎骨折が見られていた。1992年5月から93年5月にかけて登録を行い、無作為に、アレンドロネートまたは偽薬に割り付けた。当初2年間は5mg/日のアレンドロネートを投与したが、その後、ほかの試験で10mg/日の効果がより大きいことが示されたため、3年目は用量を10mg/日に変更した。食事からのカルシウム摂取が少ない女性には、カルシウムとビタミンDを含むサプリメントの摂取を求めた。ベースラインと1年後、2年後、3年後に股関節と脊椎の骨密度を測定した。
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