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JAMA誌から
片頭痛がある中年女性は高齢期に梗塞病変が見られやすい
アイスランドの出生コホートの追跡結果

 中年期に多い片頭痛は、長期的な問題を引き起こすのだろうか。米国Uniformed Services大学のAnn I. Scher氏らは、アイスランドの出生コホートを高齢期まで追跡し、中年期の片頭痛と高齢期の脳の梗塞様病変の関係を調べた。この結果、前兆のある片頭痛を経験していた女性では、頭痛がなかった女性に比べ、MRI検査により小脳に梗塞様病変が見られるリスクが有意に高いことが示された。詳細は、JAMA誌2009年6月24日号に報告された。

 片頭痛は男性より女性に多い。約3分の1の患者が片頭痛発作の前に、視覚性、感覚性、失語性、運動性の前兆を経験する。近年、前兆のある片頭痛が、脳卒中や冠動脈疾患などのリスク上昇と関係している可能性が示されている。またMRIによって検出される小脳の梗塞様病変と有意な関係があるという報告もあった。

 そこで著者らは、中年期に片頭痛症状がある人々と、頭痛がない人々を追跡し、高齢期に脳のMRI検査において梗塞様病変が検出されるリスクを比較した。

 対象となったのは、集団ベースのReykyavikスタディに参加した人々。この試験では、アイスランドのReykyavikの1907~1935年の出生コホートを1967年から追跡している。著者らは今回、1972~1986年に33~65歳(平均年齢51歳)になっていた人々に対し、中年期の評価として片頭痛に関する質問を行い、心血管危険因子、人口統計学的特性について調べた。

 月1回以上の頭痛があると述べた患者には、片頭痛症状(悪心または嘔吐、片側だけの頭痛、光恐怖、視覚障害、片麻痺)の有無を尋ね、前兆のない片頭痛、前兆のある片頭痛、片頭痛以外の頭痛に分類した。

 Reykyavikスタディーはその後、2002年にAGES-Reykyavikスタディと名を変えて継続された。著者らは、2002~06年に、高齢期の評価としてMRIを用いた脳の評価と、心血管危険因子の測定を行い、心血管疾患歴などについても調べた。 

 主要アウトカム評価指標は、梗塞様病変の存在(脳全体)と、皮質、皮質下、小脳の梗塞様病変に設定。

 Reykyavikスタディからの参加者のうち、条件を満たした4689人(女性が2693人、男性が1996人)が分析対象になった。中年期の調査時の平均年齢は50.9歳、高齢期の調査時には76.2歳だった。

 片頭痛は、男性の5.7%、女性の17.0%、全体では12.2%に見られた。前兆なしの片頭痛は男性の1.5%、女性の6.6%で、全体では4.5%。前兆ありはそれぞれ4.2%、10.3%、7.7%だった。

 前兆ありグループのうち、視覚性前兆は男性の77.1%、女性の66.2%に見られた。感覚性前兆は14.5%と17.3%。それら両方を訴えたのは8.4%と16.5%だった。

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