日経メディカルのロゴ画像

第2相試験で非小細胞肺癌に対するイリノテカンを用いた非プラチナレジメンの良好な奏効率が示される【呼吸器学会2009】

2009/06/17
森下 紀代美=医学ライター

 無作為化第2相試験において、非小細胞肺癌に対する非プラチナレジメンとしてイリノテカン(CPT-11)/パクリタキセル(PTX)の併用療法が良好な奏効率を示し、無増悪生存期間(PFS)、生存期間中央値(MST)、1年生存率はCPT-11/ゲムシタビン(GEM)の併用療法と同様の結果であった。この結果から、CPT-11を用いた併用療法はプラチナ製剤を中心とした併用療法とほぼ同等の治療効果が期待できることが示唆された。6月12~14日に東京都で開催された第49回日本呼吸器学会学術講演会のポスター発表で、独立行政法人国立病院機構嬉野医療センターの副島佳文氏が報告した。

 CPT-11は、日本では非小細胞肺癌の治療戦略において重要な薬剤の一つとなっている。

 非小細胞肺癌の標準的治療方法はプラチナ製剤を含む併用療法であるが、満足できる成績は得られていない。そのため多くの非プラチナレジメンが検討されてきたが、標準療法を上回る成績は得られておらず、CPT-11を含むレジメンはほとんど検討されていない。

 副島氏らは第1相試験の結果から、第II相試験の投与スケジュールを次のように定めた。A群:CPT-11 50mg/m2をday1、8、15に、PTX 180mg/m2をday1に投与して4週間を1コースとし、3コース投薬を繰り返す。B群:CPT-11 100mg/m2をday1、8に、GEM 1000mg/m2をday1、8に投与して3週間を1コースとし、4コース投薬を繰り返す。この2つの併用療法の有効性と安全性を比較検討し、両群とも、有効性を認めた症例は投薬の続行を可とした。予定症例数は各群40人ずつとした。

 主要評価項目は奏効率、副次的評価項目は有効性評価項目としてPFS、1年生存率および2年生存率、MSTなど、安全性評価項目として有害事象の発現率および重症度などとした。

 対象は、組織診または細胞診で非小細胞肺癌であることが確認されている、根治照射が不能な臨床病期3Bまたは4期の症例で、化学療法未治療例とした。

 無作為に症例を割り付け、A群(CPT-11/PTX)38人(男/女 26/12人、65歳未満20人、3B/4 7/31人)とB群(CPT-11/GEM)40人(男/女 28/12人、65歳未満24人、3B/4 8/32人)となった。

 奏効率はA群31.6%(95%CI:17.5~48.7)、B群20.0%(95%CI:9.1~35.6)となった。

 PFSはA群86日(95%CI:78.0~138.0)、B群145日(95%CI:109.0~192.0)であった。1年生存率はA群62.9%(95%CI:47.4~78.3)、B群64.7%(95%CI:49.7~79.6)、2年生存率はA群27.3%(95%CI:12.9~41.7)、B群32.4%(95%CI:17.5~47.4)であった。MSTはA群439日(95%CI:357.0~608.0)、B群540日(95%CI:337.0~670.0)となった。

 有害事象では、グレード3以上の好中球減少がA群78.9%、B群50.0%に発現し、A群で高頻度であった。

 非血液毒性では、グレード3以上の下痢(グレード4は発現せず)はA群7.9%、B群5.0%、悪心はA群5.3%、B群2.5%で、A群でやや頻度が高かった。すべてのグレードでみると、A群はB群と比較して、神経障害が65.8%対2.5%、筋痛が28.9%対0%、関節痛が39.5%対0%で、A群で高頻度に観察された。B群は肺臓炎の頻度がA群の2.6%と比較して12.5%と高かった。

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ