日経メディカルのロゴ画像

NEJM誌から
ST上昇心筋梗塞患者は速やかにPCI可能病院に移送すべき
6時間以内にPCIを行うと虚血性合併症リスク減少

 ST上昇心筋梗塞のハイリスク患者にプライマリPCIが適用できない場合には、血栓溶解療法後に速やかにPCI可能施設に移送して、6時間以内にPCIを行うことにより、虚血性の合併症リスクを減らせる可能性が示された。カナダSouthlake Regional Health CentreのWarren J. Cantor氏らの報告で、詳細はNEJM誌2009年6月25日号に掲載された。

 米国のガイドラインでは、ST上昇心筋梗塞で救急病院を受診した患者に対してはプライマリPCIが推奨されている。しかし、救急病院でプライマリPCIが可能な施設は25%に満たないため、患者の多くはPCIを適時に受けられず、血栓溶解療法が適用されている。現在のところ、血栓溶解療法が終わった患者を、別の病院に移送してPCIを実施すべきかどうかは、明確になっていない。そこで著者らは、血栓溶解療法後6時間以内にPCIを行う方法と、血栓溶解療法により改善が見られない患者に限ってPCIを行う方法を比較する非盲検の無作為化試験を、カナダの52医療機関で行った。

 ST上昇心筋梗塞発症から12時間以内に、PCIを行えない病院を受診して血栓溶解療法を受けた患者の中から、条件を満たした1059人のハイリスク者を登録、無作為に標準治療(ST上昇が持続する場合に救済的PCIを実施、または遅れて血管造影を実施)、もしくは、PCI可能施設に移送して血栓溶解療法から6時間以内にPCIを行う早期PCIグループに割り付けた。

 救急部門では、全員にアスピリン、テネクテプラーゼ、ヘパリンまたはエノキサパリンを投与し、クロピドグレルの併用を推奨した。

 主要エンドポイントは、30日以内の死亡、再梗塞、再虚血、鬱血性心不全の発症または増悪、心原性ショックからなる複合イベントに設定。2次エンドポイントは6カ月以内の死亡または再梗塞、出血性合併症などとした。

 2004年7月10日から2007年12月27日までに登録された1059人のうち522人を標準治療(年齢の中央値は56歳)、537人を早期PCI(57歳)に割り付けた。

 心臓カテーテル検査は、標準治療群の88.7%に割り付けから中央値32.5時間で、早期PCI群では98.5%に中央値2.8時間で行われていた。

この記事を読んでいる人におすすめ