日経メディカルのロゴ画像

どうなる?2010診療報酬改定

シリーズ●どうなる?2010診療報酬改定
「報酬全体の引き上げ」vs.「配分の見直し重視」で紛糾必至?
2カ月前倒しで診療報酬改定の議論開始

 厚生労働省は7月15日に社会保障審議会医療保険部会を開き、2010年4月の診療報酬改定に関する基本方針の議論を開始した。これに先立つ9日には、報酬改定に伴う医療提供体制などの見直しを行う同審議会医療部会も開催されている。前回の08年4月の報酬改定時には両部会は07年9月に議論を始めたが、医療崩壊が深刻化する中、今回は十分な議論を尽くすために開催時期を2カ月前倒しした。

 15日の医療保険部会では、まず、厚労省が報酬改定に向けたスケジュールを提示。 その後、これまでの医療政策について厚労省から説明があった後、改定全体の基本方針や、高齢者医療制度の見直し、保険者の財政悪化などについて委員に意見を求めた。

 スケジュールに関しては、11月までに社会保障審議会が基本方針を検討し、それと並行して中央社会保険医療協議会が改定率の方向性や個別の報酬項目について集中議論する。一方で、内閣は予算編成を経て12月末に改定率を決める。この改定率と社会保障審議会がまとめた基本方針に基づき、中医協が診療報酬点数の新設や見直しに関して話し合い、10年2~3月に報酬改定の内容を決定する。

 今回の改定議論の最大の焦点は、プラス改定が既定路線となる中、そのアップ率と財源配分の方向性だろう。

6月23日に閣議決定された「経済財政改革の基本方針2009(骨太の方針)」では、社会保障費を抑制してきた従来の方針を転換し、10年度は無理のない範囲で無駄の排除に努める一方で、自然増はそのまま認めることが明記された。これにより、医療にかかる財源が増額されるのは確定的となっている。

 問題はその引き上げ幅。日本医師会は大幅なプラス改定を要望しており、医療現場からは10%程度の引き上げを求める声もある。ただ、世界同時不況の影響や08年の高齢者医療制度の創設に伴う保険料負担の増加により、健保組合や協会けんぽ、国保の運営状況は悪化の一途をたどっており、十分な財源を確保できるか懸念される。

 15日の医療保険部会で日本労働組合総連合会副事務局長の逢見直人委員は、「今後、診療報酬の引き上げ議論になるだろうが、保険料の負担増につながることも考えなければならない。限られた財源をどこに注ぎ込むのが効果的か、“選択と集中”によるダイナミックな配分見直しが必要だ」と主張した。

この記事を読んでいる人におすすめ