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NEJM誌から
大腸カプセル内視鏡の感度は通常内視鏡に及ばず
腸管の洗浄状態が感度に有意な影響

 大腸内視鏡検査は大腸癌の発見に標準的に用いられているが、この検査を嫌う患者や内視鏡検査が禁忌の患者が少なからず存在する。患者にとって受け入れやすい、非侵襲的で安全な検査法の開発を望む声は大きい。ベルギーBruxelles自由大学のAndre Van Gossum氏らは、新たに開発された大腸検査用カプセル内視鏡の安全性と有効性を通常の内視鏡検査と比較し、現時点ではその感度は通常の内視鏡検査に及ばないことを示した。詳細は、NEJM誌2009年7月16日号に報告された。 

 このカプセル内視鏡を開発したのは、Given Imaging社だ。同社は小腸用カプセル内視鏡の開発と商品化において培った技術と経験を生かして、大腸用「PillCam COLON」カプセル内視鏡を設計した。両端にビデオカメラを内蔵する内服型のカプセル内視鏡の大きさは31mm×11mmで、1秒当たり4コマの画像が得られる。スリープモードに設定が可能で、これにより大腸に到達するまでの間バッテリーを節約できる。既に2件の予備的な研究でこの製品の実用化の可能性と安全性が示されていた。

 著者らは、通常の内視鏡検査の結果を基準として、カプセル内視鏡の大腸ポリープ、大腸癌検出能力を評価する前向き多施設試験を行った。

 対象は、大腸の疾患と診断されている18歳以上の患者、または、症状から大腸疾患の存在が疑われている50歳以上の患者で、大腸内視鏡検査が予定されている人々とし、8施設で328人(平均年齢58.6歳、大腸疾患と診断されていた患者が112人)を登録。カプセル内視鏡による検査の直後に通常の内視鏡検査を行った。

 検査に先駆けて患者には前処置を施し、腸管の洗浄状態を不良/普通/良好/非常に良好の4段階で評価した。

 カプセル内視鏡の感度と特異度は、大腸ポリープ、進行腺腫、癌腫について評価した。進行腺腫は、直径が1cm以上、または絨毛性の腺腫、もしくは高度異形成を示す場合とした。

 8人の患者が検出精度の分析から除外された。カプセルが大腸に到達する以前にバッテリーが切れた患者が5人(1.5%)、内視鏡検査が完了しなかった(S状結腸を通過できなかった)患者が2人(0.6%)いた。残る1人(0.3%)はカプセル内視鏡を飲み下せなかったが、嚥下不能に結びつく解剖学的な問題は見つからなかった。

 カプセルの排出は、1人を除いて16時間以内だった。1人の患者では排出は内服から4週目だった。カプセルが口から肛門まで通過するのに要した時間の平均は4時間51分、中央値は4時間1分。内服から10時間以内にカプセルが排出された患者(全体の92.8%)では、カプセルが大腸通過に要した時間の平均は2時間8分で、中央値は1時間18分だった。腸管の洗浄状態と大腸通過に要した時間の間に有意な関係は見られなかった。

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