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特集●医療と総選挙2009 Vol.6
「国民を馬鹿にしたマニフェストだ」
医療政策国民フォーラムが各党の医療政策を検証

医療政策国民フォーラムでは、各党のマニフェストへの批判が相次いだ。

 医療者や政策立案者、市民・患者、ジャーナリストなど様々な立場の委員で構成され、医療のあり方などを提言する「医療政策国民フォーラム」は8月5日、次期衆議院議員選挙に向けた自由民主党民主党公明党医療政策に関するマニフェストを検証する会議を開催した。

 「マスコミが取り上げたものを重点項目として並べただけで、国民を馬鹿にしている」「細かい部分に触れているか、いないかの違いだけで、どれも横並び」「今後さらに進む少子化社会で、国民に医療費をどう負担してもらって乗り切るのかが示されておらず、子どもだましみたいなマニフェストばかり」といった厳しい意見が相次いだ。

 会議でまず問題視されたのは、医療費の財源の確保方法について。各党が医療費を増やす方針を打ち出した点は評価しつつも、その財源の確保に関しては、自民党が社会保障化した消費税の導入を明記した程度で、ほとんど触れられていないことに批判が集中した。

 委員の1人であるNTT東日本関東病院院長の落合慈之氏は、「(どの党も良い政策ばかり掲げて)『国民にこういうことを求めます』ということを書いていない」と指摘した。さらに、民主党が掲げた「総医療費対GDP(国内総生産)比の経済協力開発機構(OECD)加盟国平均までの引き上げ」について、期限が設定されていない点を疑問視する声も上がった。

 一方で、財源がどの医療分野にどれだけ必要なのかなどを、しっかり見極めるための医療統計データが示されていない点を問題視する意見も多く出た。東京医科歯科大教授の川渕孝一氏は「本来、医療費を増やすことを打ち出すのであれば、医療費がどのように使われ、どう使えば効果的なのかといった “見える化”が必要。ところが、どの党のマニフェストにもそれがない。例えば、『救命救急センターを全国でいくつ増やすと医療がどう良くなり、そのためにはいくらかかる』と、(医療データを分析して)具体的に記すのが本当のマニフェストだ」と語った。

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