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Ann Intern Med誌から
手洗いやマスク着用はインフルエンザの家族内感染を抑制
香港で行われた過去最大規模の無作為化試験の結果

手洗いマスク着用を適切に行えば、家庭内での季節性インフルエンザ感染を抑制できることが示唆された。香港大学のBenjamin Cowling氏らが実施した過去最大規模の前向きクラスター無作為化試験の結果で、詳細はAnnals of Internal Medicine誌電子版に2009年8月6日に報告された。

 これまでインフルエンザの感染予防における手洗いやマスク着用の効果を調べた質の高い研究はほとんどなかった。著者らは、香港の45の外来患者向け診療所で2008年1月から9月まで患者登録を実施した。急性呼吸器疾患の症状(体温37.8度以上、頭痛、のどの痛み、筋痛)を2つ以上示し、症状発現から48時間以内で、自分以外に2人以上の同居家族がおり、過去14日間家族にはインフルエンザ様疾患は見られなかった、という条件を満たした患者を選び、鼻咽頭から標本を採取して迅速検査を実施した。

 陽性となった407人(A型陽性が245人、B型陽性が162人)の患者(発端患者)と同居家族1015人(接触者)を、手洗いを推奨するグループ(136世帯)、サージカルマスク着用と手洗いを推奨するグループ(137世帯)、対照群(134世帯)の3群に割り付けた。

 対照群には、日常生活に関する注意点(健康な食事と健康なライフスタイルが病気の予防と症状軽減に役立つという内容)を指導した。同様の指導は、手洗いを推奨するグループ、サージカルマスク着用と手洗いを推奨するグループのいずれの人たちにも実施した。

 そして手洗い群には、適切な手洗いが感染予防に役立つ可能性を説明し、トイレに行くたび、また、くしゃみや咳をした後、そして手が汚れたときには、液体石けんを用いて手を洗うよう指導した。また、帰宅直後と、感染の可能性があると考えられるものを触ったら、すぐにアルコールベースの手指消毒薬を使用するよう指示し、適切な手洗い法、消毒方法を実演した。液体石けんと消毒薬は容器ごと支給した。

 さらに手洗いに加えてマスクを使用するグループには、家族全員がマスクを着用すれば家庭内での感染を減らせる可能性があると説明した。家族全員に、在宅時は食事中と就寝中を除いて可能な限りマスクを着用し、発端患者とともに外出する場合にも着用するよう指示した。正しい着用法と衛生的な廃棄方法を実演し教えた。サージカルマスクは1人当たり50枚支給した。

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