熱帯マラリアの治療において、世界保健機関(WHO)が推奨するアルテミシニン系薬剤と他剤を併用する治療法と、アフリカで適用が増加しているキニーネの有効性と安全性を比較した結果、キニーネの方が治癒率は低く、再燃が多いことが明らかになった。ウガンダMakerere大学のJane Achan氏らの報告で、詳細は、BMJ誌2009年8月1日号に掲載された。
熱帯マラリアの多くは合併症を伴わず、抗マラリア薬の短期的な投与により治療できる。しかし抗マラリア薬耐性のマラリアが広く見られるようになったため、合併症のないマラリアに対して、アフリカのほぼすべての国でアルテミシニン系薬剤と他剤を併用する治療(アーテメーター/ルメファントリン合剤やアーテスネート/アモジアキン合剤)が第1選択になった。
一方で、これらの薬剤に対する耐性マラリアにも有効なキニーネが第2選択として推奨される国がアフリカには29カ国ある。第2選択とはいえ、第1選択薬の供給が限られていることから、キニーネを代用する国が増えているのが現実だ。実際、ウガンダでは以前から、キニーネは合併症のないマラリアに対する第2選択薬であるが、使用は増加しているという。
こうした現状であるにもかかわらず、合併症のないマラリアに対するキニーネの効果を調べた質の高い研究はほとんどない。また、キニーネの有効性は、服薬遵守率に大きく左右されるといわれているが、これを裏付けるエビデンスはなかった。
そこで著者らは、キニーネの有効性と安全性を第1選択薬であるアーテメーター/ルメファントリン合剤と比較する無作為化試験を、合併症のない熱帯マラリアの小児患者を対象に行った。
ウガンダKampalaのNational Referral Hospitalの外来を受診した患者の中から、生後6カ月から59カ月で、体温が37.5度以上または過去24時間に発熱があり、顕微鏡観察によりPlasmoduim falciparumの単独感染と確認された患者を登録した。過去2週間に抗マラリア薬を使用していた患者は除外した。
175人を無作為にキニーネ(10mg/kgを1日3回、7日間、86人)または合剤(WHOの推奨レジメンに基づいて3日間投与、89人)に割り付け、保護者に家庭での投与を依頼した。
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