近年登場した、臨床現場で利用可能なPoint of Care(POC)Dダイマー検査は静脈血栓塞栓症(VTE)をどの程度正確に除外できるのだろうか。この疑問を検証するため、オランダUtrecht大学医療センターのG J Geersing氏らが、POC Dダイマー検査の診断精度について報告した研究のメタ分析を行い、特に低リスクの患者でこの検査が有益であることを明らかにした。詳細は、BMJ誌2009年8月22日号に報告された。
VTE(深部静脈血栓症〔DVT〕+肺塞栓症〔PE〕)の患者は特定の強い症状を示さないことが多く、診断は容易ではない。プライマリケアを受診する患者のVTEリスクは非常に幅広いため、症状のみを頼りにイメージングなどの検査ができる施設に紹介するかどうかを判断するのは難しい。多くの患者を紹介すれば費用対効果は低下する。したがって、臨床現場で使用できる安全で簡便な検査が必要になる。
従来から用いられてきたDダイマー臨床検査については、臨床判断ルールに基づいてVTEの可能性は低いと見なされた患者で検査結果が陰性なら、VTEは安全に排除できることが示されている。
近年、プライマリケアや救急部門で使用でき、10~15分で結果が得られるPOC Dダイマー検査が登場した。それらは患者と医師の両方にとって、便利で費用対効果が高い方法と考えられる。だが、複数あるPOC Dダイマー検査の精度を比較した研究はこれまでなかった。
そこで著者らは、現在利用可能なPOC Dダイマー検査の、DVTまたはPEの除外診断における精度を比較するメタ分析を実施した。
Medline、Embaseに1995年1月から2008年9月までに報告された研究を対象に、系統的レビューを実施した。
DVTとPEのいずれかまたは両方が疑われる18歳超の外来患者を対象に、POC Dダイマー検査の診断精度を、VTEに対する標準的な参照基準と比較し、感度、特異度、陰性予測値、陽性予測値、DVTまたはPEの有病率を記述していた研究を選出した。
Dダイマーはフィブリンの分解産物だが均質ではなく、検査によっては異なるタイプのDダイマーを測定するため、測定結果を直接比較することができない。このため、診断精度の評価には、標準的な参照基準との比較が用いられている。
今回は、標準的なDVT参照基準として、圧迫超音波検査法、静脈造影、インピーダンス法によるプレチスモグラフィー、または3カ月以上の追跡を用いていた研究、標準的なPE参照基準としては、CTによる肺血管造影、肺換気-血流スキャン、肺血管造影、イベント発生の有無の追跡を用いていた研究を選んだ。
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