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Lancet誌から
中等症のCOPD患者にもチオトロピウムの長期投与は有益
UPLIFT試験のデータ分析の結果

 長時間作用型吸入抗コリン薬チオトロピウムが、より症状の軽い慢性閉塞性肺疾患COPD)患者においても、呼吸機能の低下率の縮小と増悪リスクの低減をもたらすことが明らかになった。ベルギーLeuven大学のMarc Decramer氏らが、Lancet誌電子版に2009年8月28日に報告した。

 長時間作用型β2刺激薬、吸入ステロイド、長時間作用型抗コリン薬などを用いた薬物療法がCOPD患者に利益をもたらすことは既に知られている。しかし、利益を評価した試験の多くが、GOLDガイドラインの重症度分類でステージIII(重症)とIV(最重症)の患者を対象にしていたため、より軽症の患者の治療に用いた場合の効果についてはほとんどわかっていなかった。

 著者らは、GOLDステージII(中等症)の患者に対するチオトロピウムの影響を調べるために、広範なCOPD患者を登録したUnderstanding Potential Long-Term Impacts on Function with Tiotropium(UPLIFT)試験のデータを分析した。

 UPLIFT試験は、二重盲検の無作為化試験で、37カ国の487医療機関で行われた。40歳以上の5993人(ステージIからIV)を登録し、通常の薬物療法に加えて、1日1回のチオトロピウム(18μg、2987人)または偽薬(3006人)を4年間投与。評価は、1カ月時、3カ月時、それ以降は3カ月ごとに行った。

 今回の分析の主要エンドポイントは、割り付け後30日目から試験終了時までの、気管支拡張薬投与前のFEV1と投与後のFEV1の年間低下率とし、各受診時の肺機能、QOL、増悪と増悪による入院、全死因死亡、下気道疾患による死亡などを2次エンドポイントに設定。分析対象は3回以上肺機能の測定を受けたすべての患者とした。

 登録された5993人中2739人(46%、平均年齢64歳)が、割り付け時にGOLDステージIIだった。ベースラインの気管支拡張薬投与後FEV1の平均は1.63L(予測値の59%)だった。

 1384人がチオトロピウム群、1355人が偽薬群に割り付けられていた。これらの治療を中止した患者の割合は、チオトロピウム群31%、偽薬群35%で、偽薬群の方が有意に多かった(p=0.024)。

 両群の患者のうち、長時間作用型β2刺激薬と吸入ステロイドのいずれかまたは両方を使用していた人の割合は、ベースライン、試験期間中ともに同様だった。抗コリン薬についても使用割合に差はなかった。試験期間中は、短時間作用型抗コリン薬は使用を許可したが、長時間作用型の薬剤については、緊急時の短期的な使用のみ可能とした。

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