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穏やかな返事のおばぁの秘密
安谷屋 亮(多良間診療所)

2009/10/01

 休日は急患がない限り、診療所の医師も基本的にはフリーです。何もない日は浜辺の漂着ゴミの掃除、サイクリング、それに飽きたらクーラーの効いた誰もいない診療所で電子カルテのプログラミングなどで時間をつぶしながら過ごしています。飲み会や食事へのお誘いがないこんな日は、家族サービスなどに追われることのない、独身ならではの至福の時間です。

 ある休日のこと。その日も診療所で休みを過ごしていたのですが、そろそろ帰宅しようと思っていた20時ごろ、携帯に着信。村役場の急患担当からです。通常の場所では急患発生時に「119番」へ電話するように、多くの沖縄離島では役場職員持ち回りの急患担当へ電話するようになっています。医師の携帯に患者さんから直接電話がかかってくることはありません。急患担当の職員は、患者さんから基本事項を聴取し、その情報を診療所医師へ連絡するのです。これはいたずら電話やストーカーなどから医師を守るシステムです。

連載の紹介

離島医師たちのゆいまーる日記
沖縄県の離島診療所で働く、出身県も経験年数もさまざまな10人の医師が、診療だけにとどまらない日々の生活をつづります。「ゆいまーる」とは沖縄方言で相互扶助の意味。「ゆいまーるプロジェクト」は沖縄県の離島で働く医師たちが集う組織です。現在の執筆者は。「こちら
「ゆいまーる日記」が電子書籍になりました

 2009年から3年間、沖縄の離島で働く若い先生方に持ち回りで執筆していただいた「離島医師たちのゆいまーる日記」。連載のうち、選りすぐりの60本を再編集の上、電子書籍にまとめました。離島で1人で働く医師にはどのような役割が求められるのか、休みは取れるのか、家族はどうなるのか、島の人たちとの関係はどうなのか――。現場の話がぎゅっとつまった書籍となっています。

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