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BMJ誌から
妊娠初期のSSRI使用に心中隔欠損リスクを高める可能性
リスクが最大になるのは2剤以上使用した場合

 妊娠初期の妊婦が、選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRI)を使用すると、児が心中隔欠損を持って生まれてくるリスクが有意に高いこと、さらに、心中隔欠損リスクが最大になるのは妊婦がSSRIを2剤以上使用した場合であることが、デンマークAarhus大学のLars Henning Pedersen氏らが行った大規模コホート研究で明らかになった。詳細は、BMJ誌電子版に2009年9月23日に報告された。

 うつ病は妊婦にも少なからず見られ、最大で5人に1人の妊婦がうつ病という報告もある。うつ病の妊婦に対する治療は、母体の健康と胎児の健康のバランスを考慮して選択する必要がある。2005年までは、SSRIと新生児の先天異常の間に有意な関係はないと考えられていたが、近年になって、一部の先天異常と特定のSSRIの関係が疑われるようになった。

 そこで著者らは、大規模な集団ベースのコホート研究を行い、SSRIの使用と先天異常の関係を明らかにしようと考えた。

 対象は、デンマークで1996年1月から2003年12月までに生まれた単生児49万6881人。

 母親に対する調剤、分娩記録、病院で小児に下された診断などに関する情報は、種々の国家登録から得た。死産となった胎児については、十分な情報が登録されていなかったため、生産児のみを分析の対象にした。

 妊娠前28日から妊娠後112日目までに母親にSSRIが2回以上処方されていたケースを、SSRI曝露と定義した。先天異常は、出生時に判明したもの、または生後1年までに診断されたものに限定した。

 主要アウトカム評価指標は、欧州先天異常登録(Eurocat)に従って分類した主要な先天異常に設定。心奇形については診断に基づいてさらに細かく分類した。母親の年齢(20歳未満、20~24歳、25~29歳、30~34歳、35歳以上)、分娩した年度(1996~98年、99~2001年、2002~03年)、婚姻状態(未婚、既婚、離婚、死別)、収入、喫煙歴で調整し、多変量ロジスティック回帰分析を行った。  

 分析対象になったのは49万6881人の単生児。1370人がSSRIに曝露していた。

 全体では、SSRIの処方と主要な先天異常の間に有意な関係は見られなかった。主要な先天異常を持っていた小児は、非曝露群49万3113人中1万5518人、曝露群1370人中55人で、オッズ比は1.21(95%信頼区間0.91-1.62)。

 しかし、SSRI曝露群では心中隔欠損リスクが有意に上昇していた。患者は非曝露群2315人、曝露群12人で、オッズ比は1.99(95%信頼区間1.33-3.53)。

 心奇形を総合したリスクの上昇は有意にならず(1.44、0.86-2.40)、心奇形を除いた先天異常のリスク上昇も有意ではなかった(オッズ比1.12、0.79-1.59)。

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