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BMJ誌から
大腿が細い中高年は死亡や心血管疾患のリスクが高い
デンマーク在住の約2800人を対象に行った前向き観察研究の結果

 BMIや腹囲、ウエスト・ヒップ比などと死亡リスクの関係はよく知られている。デンマークCopenhagen大学病院のBerit L Heitmann氏らは、新たに、大腿囲が中高年男女の死亡と心血管疾患冠疾患の独立した予測因子であることを示唆する結果を得た。大腿囲60cm前後に閾値が存在し、それより下の値であれば、大腿囲が小さいほど死亡やこれら疾患のリスクは高いという。詳細は、BMJ誌2009年9月26日号に報告された。

 これまでに、下肢の筋肉量と2型糖尿病リスクの関係を示した報告はあった。しかし、大腿部の周囲径と健康の間の関係は明らかではなかった。そこで著者らは、大腿周囲径と心血管疾患、冠動脈疾患、総死亡の関係を調べる前向き観察コホート研究を行った。

 WHOの後援を受けて行われたDanish MONICA(monitoring trends in and determinants of cardiovascular disease)プロジェクトに参加したデンマーク在住の男性1436人(1987~88年の平均年齢50.1歳)と、女性1380人(49.7歳)を分析対象とした。これらの男女は1922年、32年、42年、52年に生まれた人々で、ベースラインでは全員が冠疾患、脳卒中、癌の既往を持っていなかった。

 87・88年に、身長、体重、大腿囲(右大腿の殿溝の下を測定)、臀囲(最大値)、腹囲(肋骨弓下縁と前腸骨稜上線の中間点を測定)、体脂肪量(インピーダンス方式による)を測定。共変数として、身体活動量(4段階)、喫煙歴、学歴(以上は自己申告による)、血圧、総コレステロール値、トリグリセリド値なども調べた。

 死亡については2002年12月9日まで12.5年間、心血管疾患と冠疾患については1999年1月まで10年間追跡した。主要アウトカム評価指標は、12.5年間の総死亡率と10年間の心血管疾患、冠動脈疾患の発生率に設定した。

 12.5年のうちに、男性257人、女性155人が死亡した。

 男性の生存群では、死亡群に比べてベースラインのBMI、体脂肪量、体脂肪率、臀囲、腹囲、年齢、血圧、総コレステロール値、トリグリセリド値、喫煙量などが有意に低かった。反対に、ベースラインの除脂肪体重、大腿囲、身長は有意に大きかった。

 女性の場合もほぼ同様の結果だったが、BMI、体脂肪量、臀囲、腹囲の差は有意ではなかった。

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