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どうなる?2010診療報酬改定

シリーズ●どうなる?2010診療報酬改定 Vol.7
救急医療や医療の標準化への取り組みを重点評価か?
厚労省がDPCの「新たな機能評価係数」に関する調査結果を公表

厚生労働省は10月5日、中央社会保険医療協議会の診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会を開催。「新たな機能評価係数」に関する特別調査の集計結果(速報)を公表した。

 厚生労働省は10月5日、中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会を開催し、「新たな機能評価係数」に関する特別調査の集計結果(速報)を公表した。

 2003年度から始まったDPC(診断群分類)に基づく診療報酬支払い方式では、制度導入が円滑に進むよう、前年度並みの収入を保証する目的で病院ごとに調整係数が設定されている。この調整係数が10年度の報酬改定から段階的に廃止されるため、同分科会では現在、新たな機能評価係数(注1)の設定方法が議論されている。厚労省は今回、議論のたたき台づくりを目的に、1608施設のDPC対象・準備病院に対して調査を実施した。

 調査期間は今年7月末から8月上旬までの7日間で、病床数の内訳は「200床未満」が611施設、「200床以上400床未満」が568施設、「400床以上」が348施設、特定機能病院が81施設。今年6月の同分科会で示された「新たな『機能評価係数』に関する基本的考え方」(注2)に基づき、各病院の救急医療の提供状況や、医療の標準化を進めるための取り組みなどを調査した。

注1)
「新たな機能評価係数」
 DPCに基づく診療報酬の支払いのうち包括評価部分は、診断群分類ごとの1日当たり点数に在院日数を乗じて計算し、医療機関別係数で調整する。この医療機関別係数は「機能評価係数」(入院時医学管理加算など、DPC対象外の病院で出来高算定されている点数を病院ごとに係数化したもの)と「調整係数」で構成されているが、調整係数は2010年度の報酬改定から段階的に廃止される。ただ、調整係数には、重症者への対応力や高度医療の提供力など、既存の機能評価係数では評価しきれていない部分をカバーしている側面もあるため、調整係数の段階的廃止に伴い、急性期機能の「評価軸」を改めて洗い出し、新たな機能評価係数によって病院の機能を精緻に評価することになっている。

注2)
「新たな『機能評価係数』に関する基本的考え方」
1 DPC対象病院は「急性期入院医療」を担う医療機関である。新たな「機能評価係数」を検討する際には、「急性期」を反映する係数を前提とするべきではないか。
2 DPC導入により医療の透明化・効率化・標準化・質の向上など、患者の利点(医療全体の質の向上)が期待できる係数を検討するべきではないか。
3 DPC対象病院として社会的に求められている機能・役割を重視するべきではないか。
4 地域医療への貢献という視点も検討する必要性があるのではないか。
5 DPCデータを用いて係数という連続性のある数値を用いることができるという特徴を生かして、例えば一定の基準により段階的な評価を行うばかりではなく、連続的な評価の導入についても検討してはどうか。その場合、診療内容に過度の変容を来たさぬよう、係数には上限値を設けるなど考慮が必要ではないか。
6 DPC対象病院であれば、既に急性期としてふさわしい一定の基準を満たしていることから、プラスの係数を原則としてはどうか。
7 その他の機能評価係数として評価することが妥当なものがあれば検討してはどうか。

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