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NEJM誌から
米国の新型入院例、抗ウイルス薬早期投与が転帰に影響
2009年5~6月の入院患者272人の分析結果

新型インフルエンザ2009 H1N1)の臨床症状と重症化の危険因子に関する情報が蓄積されつつある。米疾病管理センター(CDC)のSeema Jain氏らは、2009年5~6月に米国内の病院に入院した2009 H1N1感染者について分析し、臨床症状、基礎疾患の有無、適用された治療、転帰、そして重症化の危険因子などについて記述した論文をNEJM誌電子版に2009年10月8日に報告した。

 得られた知見の概要は以下の通り。

・2009 H1N1は、肺炎や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)など入院が必要となる重症の疾患を引き起こした。
・入院患者の25%はICUに収容され、全体の7%が死亡した。
・入院患者の45%は18歳未満、38%が18~49歳で、65歳以上は5%だった。
・73%の患者が基礎疾患(喘息、糖尿病、慢性心疾患、慢性肺疾患、神経系の疾患、妊娠など)を1つ以上有していたが、重症化は若い健康な人々にも見られた。
・抗ウイルス薬は75%の患者に投与されていたが、発症から48時間以内に投与が開始されていた患者は39%だった。
・嘔吐または下痢が39%に見られた。この数字は季節性インフルエンザに比べかなり高い。
・季節性インフルエンザの場合に最も多く見られる基礎疾患は喘息とCOPDだが、2009 H1N1の重症化は神経認知障害や神経筋疾患の小児にも多く見られた。
・2歳超の入院患者のうちBMIが計算できたのは70%に留まったが、うち45%(小児18人を含む)は肥満または病的な肥満だった。
・入院患者に占める妊婦の割合は7%(一般集団においては1%)だった。

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