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ヒヤリ・ハット事例<169>
「マイスリー」と「マイスタン」は同じ薬?

2009/10/27

1.処方の具体的内容は

52歳の男性
<処方1>オーダー/印字出力、病院の循環器科

ヘルベッサーRカプセル 100mg1Cap1日1回朝食後30日分
バイアスピリン錠 100mg1錠1日1回朝食後30日分
マイスタン錠 5mg1錠1日1回就寝前30日分
ニトロダームTTS 25mg30枚1日1回朝に貼付 

2. 何が起こりましたか?

マイスリー錠<ゾルピデム酒石酸塩>とマイスタン錠<クロバザム>を同じものだと思っていた。

3. どのような過程で起こりましたか?

・<処方1>の前に患者にはアモバン錠<ゾピクロン>を処方していた。しかし、患者から「翌朝から午前中いっぱい、口の中のにがみが気になる。」との訴えがあったために、マイスリー錠に変更することにし、患者にも変更することを伝えていた。

・<処方1>を処方後、薬剤部から「マイスタン錠は、他の抗てんかん薬と併用して使用することや、初回投与量としては 10 mg とすると添付文書に記載があります。この患者さんには他の抗てんかん薬は処方されていませんし、用量も少なくなっています。この御処方で間違いないでしょうか?」と疑義照会を受けた。

4. どのような状態(結果)になりましたか?

・そこで、「自分としては、マイスリー錠を処方したつもりであるが、マイスタン錠は、マイスリー錠の併売名や後発品名ではないのか?」と尋ねたところ、両薬剤は全くの別物であることが判明した。マイスタン錠は抗てんかん剤であることをその時に初めて知った。そこで、<処方2>に変更した。

<処方2>

ヘルベッサーRカプセル 100mg1Cap1日1回朝食後30日分
バイアスピリン錠 100mg1錠1日1回朝食後30日分
マイスリー錠 5mg1錠1日1回就寝前30日分
ニトロダームTTS 25mg30枚1日1回朝に貼付 

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

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