「外」からのまなざしが、内側にいる人びとに思わぬ驚きや、
「あっ、そうだったのか」といった「気づき」をもたらすことがある。
佐久総合病院という小さな組織のなかで働く私に、
そんな刺激を与えてくれる本が今週発刊された。
岩波ジュニア新書の『医療のこと、もっと知ってほしい』という、
ノンフィクション作家・山岡淳一郎氏の書き下ろしだ。
本書の第1章は、佐久病院の高度専門医療の象徴ともいえる
「ドクターヘリ」の救命救急医や看護師、運行スタッフの仕事ぶりと想いを描く。
第2章は一転し、地域の在宅医療を支える「地域ケア科」の最前線を浮き彫りにする。
どちらも佐久の医師には身近な存在なのだが、改めて確かな外からの視点で見たとき、
違った印象で現場が見えてきた。
例えばフライトナースのリーダー格の男性看護師は、
仕事の手ごたえについてこう語る。
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著者プロフィール
色平哲郎(JA長野厚生連・佐久総合病院 地域医療部 地域ケア科医長)●いろひら てつろう氏。東大理科1類を中退し世界を放浪後、京大医学部入学。1998年から2008年まで南相木村国保直営診療所長。08年から現職。
連載の紹介
色平哲郎の「医のふるさと」
今の医療はどこかおかしい。そもそも医療とは何か? 医者とは何? 世界を放浪後、故若月俊一氏に憧れ佐久総合病院の門を叩き、地域医療を実践する異色の医者が、信州の奥山から「医の原点」を問いかけます。
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