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米関節炎患者のインフルワクチン接種率は一般の1.4倍、「でも不十分」――CDC調査

CDCのJennifer M. Hootman氏

 関節炎患者のインフルワクチン接種率は、非罹患者に比べて1.4倍と有意に高く、感染症予防が積極的に行われていることが示唆された。全米40万人超を対象にした米疾病対策センターCDC)の調査研究の成果で、米フィラデルフィアで開催されている米国リウマチ学会年次学術集会ACR2009)で、同センターのJennifer M. Hootman氏らが発表した。

 Hootman氏らは、2007年の生活習慣リスク因子調査(BRFSS)として、米国内の成人(18歳超)を対象に、無作為に発生させた番号に電話をかける方式で大規模調査を実施、州単位(50州+ワシントン特別区)で実施した。調査対象は43万912人。応答率は50.6%、うち72.1%で調査に協力が得られた(いずれも中央値)。

 電話調査では、関節炎の有無と、過去12カ月間のインフルエンザワクチン接種の有無を尋ねた。質問は以下のようなものだ。

「医師やその他の医療従事者に、関節炎、関節リウマチ、痛風、結合織疾患(Lupus)、線維筋痛症と言われたことがありますか?」
「過去12カ月間に、インフルエンザワクチンを腕に注射されたか、または鼻にスプレイされましたか?」

 この調査をもとに、関節炎の有無別にインフルワクチン接種率を算出したところ、関節炎非罹患者では31.4%だったのに対し、罹患者の接種率は52.3%と5割を超えていた。ワクチン接種の調整後オッズ比は、1.4(95%信頼区間:1.4-1.5)で、関節炎罹患者のワクチン接種率は非罹患者に比べ、有意に高かった。

 関節炎罹患者について、身体的/社会的指標とインフルワクチン接種率の関連を調べたところ、若年者(18-44歳)に対し、中高年者以上では接種率が有意に高く、逆に有色人種、高校非就学者、肥満者、喫煙者、健康保険未加入者などでは、接種率が有意に低かった。

 米国では、感染症の高リスク者である関節炎罹患者のインフルワクチン接種率が大幅に高いことを示した研究成果だが、Hootman氏は、「2人に1人は未接種であり、まだ不十分」とみる。「米国の健康増進キャンペーンであるHealthy People 2010では60%のワクチン接種率を目指しており、これがひとつの目安」としていた。

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