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鼻の穴からスイカを出すって…?

2009/10/27
引地悠

手作りベビーシューズ。初めて挑戦した編み物です。失敗を繰り返しつつ、ようやく完成しました。

 妊娠週数が進むにつれて、出産を心待ちにする半面、陣痛に対する不安が徐々に大きくなりました。昔、「出産は鼻の穴からスイカを出すようなものだ」と耳にしたことがあり、大変なのだろうとは思っていましたが、経験しないと具体的にどのようなものか、想像がつかないものです。

 そこで、「陣痛って、どれくらい痛いんですか?」と、出産を経験した女性たちに聞いてみました。

「これまでの人生で経験したことのない、ものすごい痛みよ」
「骨盤が割れるかと思いました」
「自分ではよく覚えていないんだけど、痛くて人格ががらりと変わって、旦那に暴言を吐いたり、叩いたり、八つ当たりしてたみたい…」

 聞けば聞くほど、「そんなに痛いんだ!」と恐怖が募り、逆効果でした。

 私は、学生時代に麻酔科の講義で「無痛分娩」について学んだとき、「欧米では医療の進歩により、女性を陣痛の痛みから解放する方法が一般的になっているのに、日本ではいまだに原始的な方法で陣痛を我慢することが多く、嘆かわしい」と勝手に解釈していました。そのため、当時は、自分が出産する際には、ぜひ無痛分娩にしようと思っていました。

 このように陣痛に対してマイナスの印象が強かった私ですが、その考えを改めるきっかけが2つありました。その1つが、『わたしがあなたを選びました』(鮫島浩二著、主婦の友社、2003年)という詩でした。一部を抜粋してご紹介します。

著者プロフィール

引地 悠●ひきち はるか氏。2004年宮崎大卒後、洛和会音羽病院(京都市)にて初期研修2年、後期研修1年。07年4月中通総合病院(秋田市)総合内科で後期研修。07年9月に結婚し、09年1月に第1子を出産。

連載の紹介

引地悠の「ただ今、育児休業中!」
「結婚して子供を産んでも、臨床や研究の第一線から退きたくない」。そんな女性医師の1人である引地氏が、1年間の育児休業を取得。妊娠・出産、育児を通じて、医師である自分に起こった変化を現在進行形でつづります。

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