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Lancet誌から
予防接種後の解熱薬投与で抗体誘導レベルが低下
血清防御獲得はほとんどの小児に認められる

 予防接種後の乳幼児に見られる発熱は正常な免疫反応の一部分だが、高熱と熱性痙攣に対する懸念から、解熱薬が予防的に投与される場合がある。チェコ共和国国防大学のRoman Prymula氏らは、アセトアミノフェン(論文で用いられた名称はパラセタモール)をワクチン接種後24時間に3回投与したグループと投与なしのグループを比較した。この結果、予防的投与群では38度以上の発熱を示す小児の割合が有意に少なかったものの、誘導される抗体のレベルも有意に下がる可能性を示した。詳細は、Lancet誌2009年10月17日号に報告された。

 著者らによると、一部の国では、特定の予防接種の後で、または熱性痙攣の既往歴のある小児に対し、解熱薬の予防的な使用を推奨しているという。

 著者らは、発熱の有無にかかわらず予防接種後24時間にアセトアミノフェンを投与した場合、発熱は減るのか、また、免疫誘導に影響は及ばないのかを調べるために、オープンラベルの無作為化フェーズ3試験を実施した。

 チェコ共和国の10施設で、生後9~16週の健康な乳児を登録。小児に対する予防接種プログラムが指示する初回接種期が06年9月18日から07年4月10日までだった459人と、追加接種期が07年7月2日から08年4月1日までだった414人を登録した。

 初回接種期には、肺炎連鎖球菌と無莢膜型/非分類型のインフルエンザ菌に対する免疫を付与する10価のワクチン (PHiD-CV、GSK社「Synflorix」)と、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、インフルエンザ菌b型(Hib)、HBVに対する免疫を付与する6種混合(DTPa-HBV-IPV/Hib、GSK社「Infanrix hexa」)を、生後3カ月、4カ月、5カ月の時点で3回接種し、さらにヒトロタウイルス経口ワクチン(HRV、GSK社「Rotarix」)を生後3カ月と4カ月に投与した。

 続いて、追加接種として、生後12~15カ月にPHiD-CVとDTPa-HBV-IPV/Hiを1回投与した。

 解熱薬の予防的投与あり群には、ワクチン接種後すぐに医療従事者がアセトアミノフェン座薬を投与し、その後6~8時間ごとに2回使用するよう指示した。用量は体重に基づいて決定した。解熱薬なし群については、偽薬は提供しなかった。

 接種後3日間の局所と全身性の反応を保護者が記録した。体温は、接種当日と翌日の朝夕、続く2日間は夕方に直腸で測定するよう指示した。

 予防接種前と接種後1カ月の時点で採血を実施。予防接種に含まれている個々の抗原に対する免疫誘導レベルを、抗体の幾何平均力価(GMTs)や幾何平均濃度(GMCs)を指標に比較した。

 主要評価指標は38.0度以上の発熱の発生率、2次評価指標はワクチン接種を完了した幼児(according-to-protocolコホート)における免疫誘導に設定した。

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