新型インフルエンザが、予想以上の拡大を見せています。子供の感染や重症化のニュースを、よく目にするようになりました。特に基礎疾患をもつ患者のインフルエンザは要注意とのことですが、喘息の子供がインフルエンザ感染した場合と喘息ではない子供のインフルエンザ感染の場合はインフルエンザ治療に何か違いがあるのでしょうか。また、喘息患者の場合、予防的な投薬が増加する傾向にあるのでしょうか。
今シーズンのデータはまだ間に合いませんので、昨シーズンのインフルエンザ患者で違いを見てみました。ですので、今回のデータ分析のテーマは、「季節性インフルエンザ」ということになります。
データは、2008年12月~2009年3月のレセプトデータベースから抽出。「子供(2009年3月末時点で15歳以下)」と「インフルエンザ」で観察対象者を絞り込んだ結果、1万3142人のインフルエンザ患者が存在していました。(注:1人の患者が複数回出現しても1人とカウント)。その中で、喘息の診断があったのは、3526人(喘息患者群)で、喘息の診断が無い患者は9616人(非喘息患者群)でした。
これらの患者に対して投与された薬剤を、ATC薬効分類別に人数をカウントして投与率を見たところ、全般的に多くの薬効で喘息患者群のほうが投与率は高めでした。喘息の患者の方が他の疾患も併発している可能性が高いからかもしれませんが、そのような交絡因子は、今回は分析できていませんので悪しからず。
まずは、喘息患者に対して投与率の高い薬効を上位30位まで出してみました(表1)。左側(薄いオレンジ色)は喘息患者群で、右側(水色)は非喘息患者群です。
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著者プロフィール
木村真也(株式会社日本医療データセンター社長)●きむらしんや氏。1981年京都産業大学卒。大手外資系製薬会社マーケティング部長、CROバイスプレジデントなどを経て、2002年に日本医療データセンターを設立。
連載の紹介
レセプトを読み解く
日本医療データセンター(JMDC)では、複数の大手健康保険組合からのレセプトや健診データを基に、様々な分析を行ってます。1000万件を超える膨大なデータから、同社社長の木村氏が、医療の「今」を探ります。
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