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NEJM誌から
中国製のH1N1不活化ワクチン、成人には1回接種で有効
アジュバント非添加の方が高い免疫原性

 鶏卵法で作製され中国で承認を獲得した、2009 H1N1に対する1価の不活化スプリットワクチンの臨床試験結果が、NEJM誌電子版に2009年10月21日に報告された。著者の中国中国薬品生物製品検定所のFeng-Cai Zhu氏らは、ヘマグルチニン抗原量15μg、アジュバント非添加の本ワクチンを用いると、12~60歳の成人なら1回接種で97%に免疫を誘導できることを示した。

 このワクチンは、Hualan Biological Bacterin社製で、米CDCから配布された種ウイルス(A/California/7/2009 NYMC X-179A)を用いて鶏卵法で作製された。アジュバントにはミョウバン1.2mg/mLを用いた。ヘマグルチニン抗原量は7.5μg、15μg、30μgの3通りとし、原則としてアジュバントを添加したワクチンと非添加のワクチンを用意した。

 著者らは、このワクチンの安全性と免疫原性を評価し、アジュバントを添加した場合の影響を知り、最適な抗原量を決定し、接種回数を判断するために、二重盲検無作為化試験を行った。

 2009年7~8月に3~77歳の健康な人々(妊婦は含まない)2200人を江蘇省泰州市で登録。

 登録者を年齢に基づいて、3~11歳(440人)、12~17歳(550人)、18~60歳(660人)、61歳以上(550人)に層別化し、それぞれのグループをさらに110人ずつに分けて、異なる抗原量±アジュバントに割り付け、21日間隔で2回接種した。

 体温と局所または全身性の反応は、接種後6時間、24時間、48時間、72時間と7日目、14日目、21日目に記録するよう依頼した。血清分析は、ベースラインと21日目、35日目(追加接種の14日後)に実施した。

 2200人が1回目の接種を受け、うち95.6%に当たる2103人が2回目の接種を受けていた。

 重症有害事象は見られなかった。注射部位の反応と全身性の反応のほとんどが軽症で、グレード3の反応の発生率は0.0~1.8%だった。

 局所の反応は、アジュバント添加ワクチンを接種されたグループで高く(p<0.001)、追加接種時に多かった(p=0.002)。最も多く見られた局所反応は注射部位の痛みで、各年齢群の10.5~26.7%がこれを経験していた。

 全身性の反応の発生率と年齢の間には有意な関係が見られた。発生率は12~17歳で最も多く、続いて3~11歳に多かった。最も多く見られたのは発熱で、11.5~18.0%が経験した。

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