被覆材による湿潤療法に加え、難治性潰瘍の治癒を促進する方法として最近注目されているのが、「陰圧閉鎖療法」だ。
陰圧閉鎖療法とは、創面を被覆材で閉鎖し、その部分を専用の機器で吸引して創面を陰圧に保ち続けることで、治癒を促進する治療法だ。(1)機械的刺激によって血流を増やすことで良質の肉芽を増生し、創面が活性化する(2)過剰な滲出液を吸引し、適度な湿潤環境を保つ(3)吸引されることで物理的に創が縮小する─などの効果があるとされている。
米国では、創面を吸引する機器として、ポータブル型のVacuum Assisted Closure(VAC)システムが広く使用されている。このVACシステムは、日本では現在、保険適用されておらず、機器本体が数百万円程度と高額な上、創に当てる専用のスポンジの値段も高いため、あまり普及していない。
そんな中、宝塚市立病院(兵庫県宝塚市)形成外科部長の黒川正人氏は、この原理を生かしながら、安価なコストで誰でも行える簡易式の陰圧閉鎖療法を、褥瘡や下肢潰瘍など難治性潰瘍の治療に使用している(下図)。
新規に会員登録する
こちらは、医師限定コンテンツです。医師の方は会員登録してください。
この連載のバックナンバー
2009/11/13
医師限定コンテンツ2009/11/12
医師限定コンテンツ2009/11/06
医師限定コンテンツ2009/11/03
医師限定コンテンツ2009/11/02
医師限定コンテンツ