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新型インフルエンザAH1/N1
妊婦や基礎疾患患者のワクチン接種は原則1回
13歳以下は2回接種、中高生は結論を再度先送り

厚労大臣の長妻昭氏は国産ワクチンの接種回数について、高校生以下の年齢層を除き、原則1回接種とすることを発表した。

 厚生労働省は11月11日、新型インフルエンザワクチンに関する有識者との意見交換会を開催。そこでの結論を踏まえて同日、厚労大臣の長妻昭氏(写真)は国産ワクチンの接種回数について、高校生以下の年齢層を除き、原則1回接種とすることを発表した。

 同日開催された意見交換会では、健常成人200例を対象に実施されている国産ワクチンの治験結果が発表された。治験では、被験者を2群に分け、HA抗原量が15μgのワクチンまたは30μgのワクチンを2回接種。今回、新たに明らかになったのは、被験者のうち198例の1回接種後と2回接種後の免疫反応だ。

健常成人で2回接種の上乗せ効果は認められず
 1回接種後、HI抗体価が40倍以上だったのは、15μg接種群(98人)のうち78.6%(77人)、30μg接種群(100人)のうち88.0%(88人)。2回接種後では、15μg接種群(98人)のうち77.6%(76人)、30μg接種群(100人)のうち88.0%(88人)で、回数による違いはほとんどなかった。接種前の抗体価を基準とした抗体価変化率についても、統計学的な有意差は認められなかった。

 副反応に関しては、接種1回目は45.0%、2回目は44.2%で発赤、膨張などの局所反応が見られたものの、接種回数による大きな違いはなかった。また、高度の有害事象としては、1回接種後、1例にアナフィラキシー反応(咽頭違和感と咳嗽)、1例に中毒疹が確認された。アナフィラキシー反応を起こした被験者は、2回接種後も吐気や呼吸速拍が出現したが、60分後に軽快。なお、中毒疹を発症した被験者は、2回目の接種を受けなかった。

 意見交換会はこれらの結果を受けて、健常成人に対しては、2回目の接種による上乗せ効果が認められないこと、副反応は2回接種でも1回のみの接種と変わらないことを確認した。

 その上で、優先接種対象者の接種回数について検討。これまで国内外で明らかになっている治験結果や、季節性インフルエンザの接種回数などを踏まえ、基礎疾患患者、妊婦、65歳以上の高齢者、1歳未満の乳児の保護者などについて、原則1回接種とすることで一致した。また、13歳以下の小児については、2回接種とすることでまとまった。

 中高生に相当する年齢層については、1回接種とする諸外国が多いことなどから1回接種でよいとする意見が大半を占めた。しかし、2回接種によってより高い効果が得られる可能性もあることから、一部の専門家から現在実施中の治験結果を待ってから結論を出すべきとの意見が出て、まとまらなかった。

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