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JAMA誌から
心血管疾患の後は大腿骨頸部骨折リスクが上昇

 心血管疾患CVD)を患うと、その後の大腿骨頸部骨折のリスクが有意に上昇すること、特に脳卒中後は骨折のハザード比が5倍になることが、スウェーデンUppsala大学のUlf Sennerby氏らの研究で明らかになった。論文は、JAMA誌2009年10月21日号に報告された。

 近年、CVDと骨粗鬆症性の骨折の病因に共通する部分があることを示す報告が蓄積されている。また、ビスホスホネートは骨吸収を阻害すると同時に血管石灰化を抑制することが明らかになっており、スタチンはコレステロール降下作用のみならず、骨粗鬆症による骨折を減らす作用も持つことが示されている。

 著者らは、様々なCVDと大腿骨頸部骨折リスクの関係を調べ、遺伝的な要因などの影響も探るために、双生児を対象とする分析を行った。

 まず、世界最大規模の双生児登録であるスウェーデン双生児登録から、1914~44年に生まれ、72年に生存していたスウェーデン人双生児3万1936人(1万5968組)を抽出した。全国患者登録を利用して、50歳の誕生日から2005年末までのCVDと骨折の有無を調べた。

 98~2000年に電話を介した聞き取り調査を行い、交絡因子候補に関する情報を得た。2万4598人(87%)から回答が得られた。

 主要アウトカム評価指標は、CVD診断から大腿骨頸部骨折発生までの時間に設定した。

 対象となった双生児の21.8%が一卵性、37.1%が同じ性別の二卵性、35.1%は異なる性別の二卵性で、6.0%は一卵性か二卵性かが不明だった。

 50歳以降にCVDと診断されていたのは、女性の35%、男性の43%だった。心不全は2270人(発症時の平均年齢は74.4歳)、脳卒中は2962人(70.5歳)、末梢動脈のアテローム硬化は1061人(69.0歳)、虚血性心疾患は4869人(67.9歳)だった。

 大腿骨頸部骨折を経験したのは1442人で、70%が女性だった。

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