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どうなる?2010診療報酬改定

シリーズ●どうなる?2010診療報酬改定 Vol.17
「行政刷新会議の事業仕分けは乱暴すぎる」
報酬の配分見直しを求める判断に異論続出

11月13日の中医協・診療報酬基本問題小委員会では、行政刷新会議の「事業仕分け」の影響を懸念する声が相次いだ。

 中央社会保険医療協議会・診療報酬基本問題小委員会が11月13日に開かれ、医療機関の連携、入院医療における多職種共同の取り組みなどに関する診療報酬のあり方が話し合われた。

 厚生労働省は医療機関の連携に関連する現行の報酬として、地域連携診療計画管理料退院調整加算診療情報提供料などを示した上で、

(1)診療計画に基づき連携を行った場合(地域連携クリティカルパス)の診療報酬上の評価
(2)患者がスムーズに適切な療養に移行するための取り組みに対する診療報酬上の評価
(3)医療機関同士の情報共有のあり方

の3つを論点として挙げた。

 これに対して診療側委員からは、地域連携診療計画管理料の算定要件緩和への要望が続出。現行では、患者の入院後7日以内に地域連携診療計画に基づく診療計画を作成することが要件となっているが、7日以内では患者の容体が安定しておらず計画作成の同意を得にくいため、14日以内程度への延長を求める声が上がった。
 
 さらに、地域の医療体制の問題点にも言及。茨城県医師会理事の鈴木邦彦氏は、「当病院でも地域連携クリティカルパスは作っているが、回復期をはじめとするリハビリ施設が少なく、なかなか連携が進まない」と訴えた。一方、被保険者代表の委員である勝村久司氏(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、「地域によって医療体制が異なっている現状を鑑み、中医協とは別の場で長期的な視野に立って地域連携の基盤整備を議論すべきだ」と提案した。

 このほか、多職種共同の取り組みに関しては、チームによるカンファレンスや回診を行い、患者の治療に対応することを診療報酬上どう評価するかを、厚労省が論点として提示。現行の関連報酬として栄養管理実施加算や緩和ケア診療加算を挙げた上で、栄養管理や人工呼吸器の管理を多職種(医師、看護師、臨床工学技士、理学療法士など)で行っている事例を紹介した。

 チーム医療に関して山形大医学部長の嘉山孝正氏は、「人工呼吸器の管理は医師の業務。医師とコメディカルとの守備範囲を踏まえた上で、必要なものをしっかり吟味して報酬を付けなければならない」と発言。チーム医療という概念に対する過度な評価に釘を刺した。

 また、支払い側委員は、チーム医療の重要性への理解は示しつつ、報酬の算定要件となる可能性のある「チーム」や「カンファレンス」の定義の明確化を要望。それに対し診療側委員からは、厳密な規定が設けられることへの異論が出された。全日本病院協会会長の西澤寛俊氏は、「チーム医療は広がりつつあるが、カンファレンスを例に取れば、関連職種全員が常に参加できるわけではない」と現状を訴えた。今後は、具体的な要件の設定が議論の対象となりそうだ。

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