片頭痛と虚血性脳卒中の関係を示すエビデンスが蓄積されるにつれて、他の虚血性血管疾患との関係も報告されるようになった。米Harvard 大学医学部のMarkus Schurks氏らはメタ分析を行い、片頭痛と虚血性脳卒中との間に有意な関係があることを確認した。脳卒中リスクは、女性、45歳未満、喫煙者、経口避妊薬使用者で高かった。詳細は、BMJ誌2009年10月31日号に報告された。
先進国では片頭痛と心血管疾患の有病率は高く、心血管疾患が患者に与える負荷は大きい。著者らは、これらの疾患の間に関係が存在するとしたら公衆衛生上見過ごすことはできないと考え、片頭痛と血管疾患(脳卒中、心筋梗塞、狭心症、心血管死亡)の関係を調べる系統的レビューとメタ分析を行った。
文献データベース(PubMed、Embase、コクランライブラリ)に2009年1月までに登録されていた論文の中から、ケースコントロール研究またはコホート研究で、あらゆる片頭痛もしくは特定の亜型の片頭痛と血管疾患の関係を調べた研究を選出、それらの文献リストも参照した。
条件を満たしたのは25件の研究で、13件がケースコントロール研究、10件はコホート研究、2件は横断的研究だった。10件は女性のみを対象としており、男性のみを対象とする研究も1件あった。16件は前兆のある片頭痛と前兆のない片頭痛を分けて分析していた。
分析対象となった血管疾患は、虚血性脳卒中、一過性脳虚血発作、出血性脳卒中、あらゆる脳卒中、心筋梗塞、狭心症、冠疾患死亡、心血管死亡などで幅広かった。
あらゆる片頭痛と虚血性脳卒中の関係を評価していたのは9件の研究。相対リスクのプール推定値は1.73(95%信頼区間1.31-2.29)で、片頭痛患者における虚血性脳卒中リスク上昇が示された。9件の研究の不均質性は中等度だった(I2=65%)。
相対リスクは男性では有意にならず(1.37、0.89-2.11)、女性では2倍超となった(2.08、1.13-3.84)。
リスク上昇は45歳未満の男女で大きく、相対リスクは2.65(1.41-4.97)となった。女性を年齢で層別化すると、45歳以上は1.22(0.88-1.68)、45歳未満は3.65(2.21-6.04)だった。
現在の喫煙者のリスクは、評価されたどの集団より高く、9.03(4.22-19.34)。非喫煙者は1.56(0.41-5.85)だった。
経口避妊薬使用中の女性の相対リスクは7.02(1.51-32.68)と有意で、避妊薬を現在使用していない女性では2.27(0.69-7.47)と非有意だった。
前兆の有無で片頭痛患者を層別化し、虚血性脳卒中との関係を評価していたのは8件の研究。前兆を伴わない片頭痛の患者のリスク上昇は有意ではなく(1.23、0.90-2.11)、前兆を伴う片頭痛患者の虚血性脳卒中リスクは2倍超(2.16、1.53-3.03)だった。
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