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JAMA誌から
スタチンを1年以上使用すると胆石リスクが低下
フィブラートの使用はリスクを高める

 スタチンは肝臓でのコレステロールの生合成を抑制するため、胆汁中のコレステロール濃度を下げて、コレステロール胆石のリスクを減らす可能性がある。しかし、ヒトを対象とする研究では一貫した結果は得られていなかった。スイスBasel大学病院のMichael Bodmer氏らは大規模観察研究を行い、スタチンの長期使用は胆嚢切除を要する胆石疾患のリスクを低減し、フィブラートの使用はリスクを高めることを明らかにした。論文は、JAMA誌2009年11月11日号に掲載された。

 先進国の白人男性の10~20%が胆石を持っている。米国では、胆石疾患治療のための胆嚢切除が年間70万件を超えているという。

 胆石の80~90%はコレステロール石に分類されるため、スタチンによるリスク低下に期待が寄せられてきた。一方で、やはり脂質降下薬であるフィブラートは、胆石形成リスクを上昇させるとの報告があった。

 そこで著者らは、スタチン、フィブラートの使用と、胆嚢切除が必要な胆石疾患罹患リスクの関係を明らかにすべく、英国の一般開業医研究データベース(GPRD)を利用してケースコントロール分析を行った。

 データベースから、ケース(症例)と、ケース1例当たり4例のコントロール(対照)を同定。ケースは20歳以上で、1994年から2008年の間に初めて胆石疾患と診断され、2年以内に胆嚢切除を受けた患者、またはこの間に胆嚢切除を受けた記録のみ存在していた患者とした。コントロールは、胆石疾患ではなく、胆嚢切除も受けておらず、出生年度、性別、かかりつけ医、受診年度、データベース登録年などがケースにマッチする人々から選んだ。

 ケースとコントロールについて、やはりデータベースからスタチン、フィブラートの使用に関する情報を得た。これら薬剤の直近の処方が初回診断または胆嚢切除の90日以内だった人々を現在使用者、処方がそれ以前だった人々を過去の使用者とした。

スタチンの使用期間は処方回数に基づいて、1~4回、5~19回、20回以上に分類した。

 主要アウトカム評価指標は、胆嚢切除を必要とする胆石疾患リスクに設定。条件付きロジスティック回帰モデルを用いて罹患のオッズ比を推定した。その際、胆石の危険因子も含む交絡因子候補(年齢、性別、かかりつけ医、罹患年度、データベースに登録された年度、喫煙歴、BMI、虚血性心疾患、虚血性脳卒中、一過性脳虚血発作、エストロゲンを含む避妊薬またはエストロゲン補充療法歴など)で調整した。

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