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BMJ誌から
糖尿病患者へのアスピリンに心血管イベント予防効果なし
6件の無作為化試験をメタ分析した結果

 アスピリンは本当に糖尿病患者の心血管イベント一次予防に有効なのだろうか。イタリアConsorzio Mario Negri SudのGiorgia De Berardis氏らは、最新の研究結果を含むメタ分析を行い、アスピリン投与による有意なリスク低減は見られないことを明らかにした。詳細は、BMJ誌電子版に2009年11月6日に報告された。

 糖尿病患者においても、低用量アスピリンは心血管イベント一次予防に有効と考えられており、一部のガイドラインが適用を推奨している。しかし、幅広い糖尿病患者に対する低用量アスピリンの有効性と安全性を明確に示した質の高い無作為化試験はない。一方で、アスピリンの利益を否定する結果を得た研究も複数ある。

 著者らは、心血管疾患ではない糖尿病患者に低用量アスピリンがもたらす利益と害について評価すべく、最新の文献も対象に含めたメタ分析を実施した。

 Medline(1966年から2008年11月)とコクランライブラリから、糖尿病だが心血管疾患ではない患者を、アスピリンまたは偽薬、もしくは治療なしに割り付けてアウトカムを比較した無作為化試験を選出(非盲検の試験も含まれる)。主要な心血管イベント(心血管死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、全死因死亡)に関するデータを抽出、プールして、ランダム効果モデルを用いて分析した。

 条件を満たしたのは、1989~2008年に報告された6件の研究(登録患者は1万117人)。個々の研究に登録された患者に占める糖尿病患者の割合は2.4%から100%だった。アスピリンの用量は、100mgを隔日投与から650mg/日まで、追跡期間は3.6年から10.1年だった。服薬遵守率は50%から92%の範囲だった。

 対照群との比較で、アスピリン群における主要な心血管イベントリスクの有意な低下は見られなかった。

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