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NEJM誌から
オフポンプCABGの長期転帰はオンポンプよりやや不良
米国で行われた無作為化試験の結果

 冠動脈バイパス術CABG)を人工心肺を使わずに行った場合、人工心肺を使った場合に比べて術後30日のアウトカムに差はなく、1年間の複合有害イベント発生率は有意に高い―。そんな無作為化試験の結果が、米Northport 退役軍人医療センターのA. Laurie Shroyer氏らによって、NEJM誌2009年11月5日号に報告された。

 過去30年間、CABGには人工心肺が用いられてきた(オンポンプCABG)。だが、1990年代半ばから、人工心肺を用いず心拍動下で行う方法(オフポンプCABG)に関心が集まるようになった。オフポンプなら、人工心肺装置に関係する術後の合併症を減らせると期待されたからだ。しかしその後、オフポンプCABGの血行再建達成率、術後の心筋梗塞発生率、長期的なグラフト開存率などがオンポンプCABGより低いことが示唆され、オフポンプ術の利益に疑いが持たれるようになっていた。

 そこで著者らは、これら2通りの術式の短期的、長期的な転帰を比較する無作為化試験Randomized On/Off Bypass (ROOBY)を、02年2月から08年5月の間に、米国内18カ所の退役軍人医療センターで実施した。

 緊急CABGまたは待機的CABGが予定されていた2203人(退役軍人であるため男性が99%超を占めた)を、無作為にオフポンプCABG(1104人、平均年齢63.0歳)またはオンポンプCABG(1099人、62.5歳)に割り付けた。

 短期的な評価指標は、退院前または術後30日以内(いずれか遅い方を採用)の死亡または合併症(再手術施行、新たな機械的補助循環が必要、心停止、昏睡、腎不全)を合わせた複合イベントに設定。

 長期的な評価指標は、術後1年以内の全死因死亡、術後30日から1年時までの血行再建術再施行、術後30日から1年時までの非致死的心筋梗塞を合わせた複合イベントとした。

 2次エンドポイントは、術前の計画通り血行再建が行われた血管の割合、1年時のグラフト開存率、神経心理学的転帰(神経心理学評価バッテリーのスコアのベースラインからの変化)、医療リソースの使用に設定された。分析はintention-to-treatで行った。

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