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どうなる?2010診療報酬改定

シリーズ●どうなる?2010診療報酬改定 Vol.26
時間外の「病状説明」と「軽症者対応」が議論の俎上に
明細書の発行義務化と無料化は結論出ず

 11月27日、中央社会保険医療協議会(中医協)診療報酬基本問題小委員会が開催され、病院勤務医の負担軽減策、明細書の発行、特定機能病院について検討が行われた。

病院勤務医負担軽減策に関しては、厚労省が2009年9月に医療機関と医師を対象に実施した「勤務医の負担の現状と負担軽減のための取り組みに係る調査」の結果が発表された。調査は、入院時医学管理加算の届出施設や、救急受け入れの多い医療機関など1100施設、1300人の医師を対象としたもので、10月30日時点での医療機関の調査票の回収率は28.8%(317施設)。

 調査では、08年度の改定時に勤務医の負担を軽減するために新設、または内容が変更された3加算(入院時医学管理加算、医師事務作業補助体制加算ハイリスク分娩管理加算)の届出状況と負担軽減の現状などが明らかになった。入院時医学管理加算と医師事務作業補助体制加算の届出施設では医師の労働環境の改善傾向が見られた一方、診療内容や治療方針などについて患者と話し合う時間が増加しており、休日夜間を含めて軽症患者が多く受診していることなどが勤務医の負担感につながっている現状が示された。

 調査結果を受け、同日の中医協では、

(1)勤務医の負担軽減のために診療報酬上の工夫をすることについて
(2)患者の家族が時間外の病状説明を複数回求めた場合に患者に支払いを求めることについて
(3)軽症患者が自己都合で救急病院などを時間外に受診した場合に患者に支払いを求めることについて

の3つの論点で議論が行われた。

 上記(2)、(3)の選択肢としては、報酬上の評価のほか、選定療養として患者に負担を求めるなどの手法が考えられるが、支払い側委員からは慎重な意見が相次ぎ、議論はまとまらなかった。ちなみに(1)についてははほとんど意見が出なかったものの、今回の調査によって3加算の効果がある程度認められたことから、点数の引き上げや算定要件の緩和など、何らかの方策が取られることになりそうだ。

支払い側は「明細書の無料発行の義務化」を要求
明細書の発行については厚労省から、

(1)明細書発行義務の拡大
(2)保険薬局による明細書発行
(3)明細書発行についての患者への周知

の3つの論点が示された。

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