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NEJM誌から
スタチンとナイアシンの併用はエゼチミブ併用に優る
CIMTの減少や心血管リスク低減を指標とした無作為化試験の結果

 スタチンと組み合わせることで血中脂質プロファイルを改善し、主要な心血管イベントを減らすことができるのは、ナイアシンか、エゼチミブか。この問いを検証すべく無作為化試験を実施した米Walter Reed陸軍医療センターのAllen J. Taylor氏らは、頸動脈内膜中膜複合体厚(CIMT)の減少と主要な心血管イベントリスクの低減において、ナイアシンがエゼチミブに優ることを示した。論文は、NEJM誌2009年11月26日号に掲載された。

 脂質プロファイルの向上を目的としてスタチンの単剤投与に別の治療を加えるとしたら、HDL-コレステロール(HDL-c)値を高めてLDL-コレステロール(LDL-c)値を下げる薬剤の組み合わせが候補の一つになるだろう。

 コレステロール吸収阻害薬エゼチミブとスタチンを併用すると、LDL-c値が減少することは明らかになっているが、その臨床的な意義は報告されていない。一方、ナイアシンをスタチンと併用するとHDL-c値が上昇し、冠イベントのリスクが低下するといった報告があるが、いずれも小規模な試験の結果だった。

 そこで著者らは、この2つの薬剤を直接比較する前向き無作為化試験「ARBITER 6-HALTS」を米国内2施設で実施した。

 患者登録は06年11月16日から09年6月4日まで行った。30歳以上で長期的なスタチン投与を受けている、アテローム性冠疾患またはアテローム性血管疾患の患者(279人)、もしくは冠疾患リスクが高いとみなされる人々、すなわち、糖尿病患者(38人)、フラミンガムスコアに基づく10年リスクが20%以上の患者(26人)、冠動脈石灰化スコアが女性で200超、男性では400超の患者(20人)を登録(計363人)。登録3カ月前の測定において、LDL-c値が100mg/dL未満、HDL-c値が男性は50mg/dL未満、女性は55mg/dL未満を条件とした。

 無作為にスタチン+徐放性ナイアシン(目標とする用量は2000mg/日)またはスタチン+エゼチミブ(10mg/日)に割り付け、オープンラベルで投与した。

 主要エンドポイントは、ベースラインから14カ月後までのCIMTの変化量に、2次エンドポイントは、脂質値の変化、主要な心血管イベント(心筋梗塞、血行再建術、急性冠症候群による入院、冠疾患死亡)、有害事象による治療中止、健康関連QOLなどに設定。

 CIMTはベースライン、8カ月時、14カ月時に、Bモード頸動脈超音波検査により測定し、平均CIMT値と最大CIMT値を求めた。血中脂質値は、ベースライン、2カ月時、8カ月時、14カ月時に、朝の空腹時に採血して測定した。

 363人の登録患者のうち、14カ月の追跡を終了した208人について中間解析が行われた。この結果、ナイアシンの有効性が示されたため、試験は早期中止された。この論文は、これら208人(ナイアシン群97人、エゼチミブ群111人)について分析している。

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