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「JSH2009ガイドラインの浸透度と活用のコツ」Vol.2
第一選択薬と併用療法、アルゴリズム確立が今後の課題
日経メディカル2009年12月号特別編集版「スペシャルレポート」(転載)

2009/12/14
中村 克也=医学ライター

 2009年10月に開催された第32回日本高血圧学会総会の特別企画「JSH2009ガイドラインを検証する」では、公表後の同ガイドラインの認知状況や主な変更点などが紹介されたほか、学会に寄せられた意見を踏まえ、今後の検討課題について議論が交わされた。その中から「第一選択薬と併用療法」に関する部分を紹介する。


自治医科大学循環器内科教授の島田和幸氏

 降圧薬治療の第一選択薬と併用療法に関して、自治医科大学循環器内科教授の島田和幸氏は、現段階の評価と今後の課題を中心に解説した。

 島田氏は最初に、「降圧薬の心血管疾患抑止効果の大部分は、薬の種類よりも降圧度によって規定される」ことを改めて強調し、その上で「単剤もしくは併用使用を目的に最初に投与すべき降圧薬は、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬の中から選択する」という新ガイドラインの内容を紹介した。

 第一選択薬については、α遮断薬が主に心血管疾患抑制のエビデンスが不足しているとの理由から、除外されたことが変更点となっている。島田氏はこの点について、ガイドライン発表後、特に問題なく受け入れられているとの見解を示した。ただし、β遮断薬については、様々なメタ解析で他の降圧薬に比べ脳卒中や心疾患の発症予防効果において劣ることが示されているため、「高齢者や糖尿病、耐糖能異常などの病態を合併する場合は、第一選択薬とはならない」と記されている。β遮断薬を今後も第一選択薬として位置づけるかは、血管拡張作用のあるβ遮断薬の扱いを含め、次回改訂の際に検討される見込みだ。

併用療法の実施はまだ不徹底
 併用療法について、JSH2009ガイドラインでは「降圧目標を達成するためには、多くの場合2、3剤の併用が必要となる。その際、少量利尿薬を積極的に併用すべきである」と記載している。

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