日経メディカルのロゴ画像

どうなる?2010診療報酬改定

シリーズ●どうなる?2010診療報酬改定 Vol.46
DPCの新たな機能評価係数に救急医療、地域医療も反映
認知症医療では点数新設の提案を診療側が断る一幕も

1月29日の中央社会保険医療協議会では、新たに導入されるDPC(診断群分類)の機能評価係数のほか、重点課題に盛り込まれた認知症医療、感染症対策の推進などが議論された。

 1月29日、中央社会保険医療協議会(中医協)の総会が開催された。総会では、2010年度診療報酬改定に関して、新たに導入されるDPC(診断群分類)の機能評価係数のほか、重点課題に盛り込まれた認知症医療、感染症対策の推進などが議論された。

 2010年度からは、DPCの調整係数を段階的に廃止し、それに代わって病院の機能を評価する「新たな機能評価係数」が導入される(関連記事:2009.11.20「厚労省がDPCの『新たな機能評価係数』の具体案示す」)。総会では、新たな機能評価係数の評価項目や係数の設定方法が話し合われた。

 既に導入の方向で合意している評価項目は、(1)データ提出や提出データの質(2)効率性(3)診療の複雑さ(4)診療群分類の広がり―の4項目。総会では、さらに(5)救急医療、(6)地域医療を評価項目に加えることの可否や評価手法が話し合われ、2項目を評価項目に加えることについては概ね合意が得られた。また、上記6項目を機能評価係数として設定する方法や、更新頻度、施行時期などについて、委員から目立った反対意見は出なかった

「地域医療」の要件については継続検討
 ただ、地域医療を評価する細かい要件については、議論が煮詰まらなかった。地域医療については厚生労働省から、地域医療計画に定められている4疾病(がん、急性心筋梗塞、糖尿病、脳卒中)5事業(救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児医療)のうち、1疾病(がん)4事業(救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療)の5つを指標に各病院を評価する方法が提案された。

 しかし、委員からは「脳卒中の地域連携パスも評価すべきではないか」(茨城県医師会理事の鈴木邦彦氏)、「へき地の医療ではへき地医療拠点病院の指定の有無で評価しようとしているが、対象に社会医療法人を加えてもいいのではないか」(全日本病院協会会長の西澤寛俊氏)といった意見が出され、引き続き検討することになった。

 また、6項目の名称や、新たな機能評価係数に反映する際の重み付けについても結論は出なかった。さらに、現行の調整係数による上積み相当分のうち、次期改定でどの程度の割合を新たな機能評価係数に置き換えるかについて、厚労省から15%、25%、35%とした場合のシミュレーションが示されたものの、これについても結論は出ず、最終決着は次回以降に持ち越された。ちなみに、仮に6項目の重み付けを均等にし、上積み相当分の25%を置き換えるとしても、DPC病院の収入の変動率は1%以内に収まる計算だ。

この記事を読んでいる人におすすめ