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どうなる?2010診療報酬改定

シリーズ●どうなる?2010診療報酬改定 Vol.47
明細書発行の義務化推進で議論が再び紛糾
後発品採用比率20%以上の施設向けに加算を新設へ

2月3日に行われた中央社会保険医療協議会(中医協)総会では、診療明細書の無料発行の義務化が議題に上ったが、この日も合意に至らず、結論は次回以降に持ち越しになった。

 中央社会保険医療協議会中医協)総会が2月3日開催され、前回に引き続き、次期診療報酬改定における個別項目について議論された。

 今回、厚生労働省は、診療明細書の発行の拡大を進める観点から、レセプトを電子請求している医療機関を対象に、原則、明細書の無料発行を義務付ける案を示した(資料はこちら)。

 現在、明細書は、レセプトを電子請求している病院において、患者が希望した場合の発行が、原則義務付けられている。また、医療機関は、発行に伴う実費を患者に請求できる。

 厚労省によると、医療機関が使用しているレセコンは、明細書発行機能があるものが大半。また、診療報酬結果検証部会での報告では、明細書の発行は大半が無料で行われており、明細書発行を義務とする基盤は整いつつあるという。

 その上で、IT化が遅れているとされる診療所を対象とした「明細書発行等加算」の新設が提案された。月1回算定できる再診料の加算で、算定要件には、(1)診療所であること(2)レセプトオンライン請求を行っている(MOなどの電子媒体での請求も可)(3)明細書を無料で発行しており、その旨を領収書に記載し、院内掲示を行っている―が挙げられた。点数は1点になる見通しで、もし新設が実現すれば、現行の電子化加算(3点)は廃止される。

 この案に対して京都府医師会副会長の安達秀樹氏は「基本的に異論はない」としたものの「診療所では費用がかかる」と慎重な姿勢を示した。同氏によれば、個人診療所の半数以上で、レセプトに電算化機能はあっても明細書発行のためのソフトが入っておらず、ソフトの購入費用としておよそ3万5000円を医療機関が負担する必要があるという。

 また、山形大医学部長の嘉山孝正氏は「理念としては賛成だが、明細書には患者のプライバシーが出ている。本当に必要とする患者はどれだけいるのか。すべての患者に渡すのは反対」などと述べた。

 総論賛成ながらも煮え切らない診療側の姿勢に対して、健康保険組合連合会常務理事の白川修二氏が「受けたサービスの内容を知るのは患者の権利。4月からすべての医療機関で発行しろ、とか、いつまでにやれとはこの案には書かれていない」と声を荒げる一幕もあった。

 結局、診療側と支払側双方の意見はまとまらず、発行対象などの詳細について次回改めて議論することが決まった。中医協会長で学習院大経済学部教授の遠藤久夫氏は、次回の議論で意見の一致を見なかった場合、公益委員に決定を一任するか、委員の投票によって決定するとした。

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