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どうなる?2010診療報酬改定

シリーズ●どうなる?2010診療報酬改定 Vol.49
明細書の無料発行、原則義務化へ
再診料、外来管理加算の議論は平行線のまま

2月5日の中医協では、前回、議論が紛糾した明細書の発行義務化について再度話し合われ、診療側・支払い側が無料発行の原則義務化で大筋合意した。

 中央社会保険医療協議会(中医協)総会が2月5日に開かれ、前回、話し合いが紛糾した診療報酬明細書の発行義務化の対象拡大(関連記事:2010.2.4「明細書発行の義務化推進で議論が再び紛糾」について再度議論が交わされた。

 前回の総会では、支払い側委員が、レセプトの電子請求を行っている医療機関において明細書の無料発行の義務化を要望したのに対し、診療側委員が、理念としては賛成しつつも、「事務や費用の負担が増す」、「病名を知りたくない患者にも告知されてしまう恐れがある」といった慎重な姿勢を示したため、議論は暗礁に乗り上げていた。

 今回、厚生労働省が診療側の意見を汲む形で、無料発行の義務化の方針は変えないものの、(1)院内掲示などで患者に周知する(2)発行を希望しない患者には申し出てもらう旨の掲示をする(3)2010年度以降、明細書の発行実態や医療機関の事務・費用負担の状況、患者への影響(待ち時間の増減など)を検証する―といった条件を加えた改案を提示した(資料はこちら)。

 この案に対して診療側委員が、明細書の発行頻度への配慮などを求めつつも概ね賛成の意向を示し、レセプトの電子請求を行っている医療機関における無料発行の原則義務化が決まった。これに伴って現行の電子化加算(3点)は廃止され、診療所を対象とした「明細書発行体制等加算」(点数は1点になる見通し)が新設される予定だ。

高度な手術の報酬は30~50%増
 また同日は、1月15日の総会で取りまとめた「現時点の骨子」(関連記事:2010.1.16「診療報酬改定の骨子まとまる」)に基づき、重点課題関連項目の1つである「医療技術の評価」に関しても議論された(資料はこちら)。

 厚労省は手術料について、崩壊に直面する外科の建て直しや病院勤務医の負担軽減などを目的に、病院で実施している約1800項目の手術のうち900項目程度の報酬を引き上げる方針を提示。また、技術度区分DとEに分類される高度な技術が求められる手術の点数に関しては、現行の30%および50%増を目安とする考えも示した。診療側委員からは「やっと手術料が正当に評価され、大変ありがたい」(山形大医学部長の嘉山孝正氏)といった評価の声が上がった。

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